イラン暦の今年は、EUにとって、イランとの関係やアメリカの核合意を巡る圧力に対する抵抗に関して、困難な試練となる年でした。

まもなく、イラン暦の今年が終わろうとしています。この時間は、今年のイランとEUの関係について振り返ってまいりましょう。

 

予想されていたように、核合意の始まりによって、イランとEUは新たな関係に入りました。この1年、アメリカのトランプ大統領の度重なる妨害にもかかわらず、この協力は続けられました。

 

イランとEUの関係は、経済、文化、核問題の分野で日増しに拡大し、「EUの2020年計画の紹介」といった会合がイランで開催されました。こうした行動は、EUが、イランとの関係改善を真剣に考えていることの表れです。

 

核合意が2016年1月から実施されたことで、これまでイランとEUは、この合意に基づいてこの分野の協力を開始し、続けてきました。技術的な問題はさておき、イランとEUの経済協力や、核合意の実施の障害を取り除くための努力も、注目に値する問題です。

 

核合意後の雰囲気の中で、イランとEUの外交や互いの国の訪問が大幅に増えました。イランは、フランス、イタリア、ドイツといった国々と、エネルギー、運輸、新しい技術などの分野でこれまでで最大の規模の貿易合意を締結し、実施しています。

 

核合意の実施における一部の障害にも拘わらず、イランとEUの貿易量は大幅に増加しています。こうした中、この関係に影を落としているのが、関係における構造上の弱点やあいまいな点であり、アメリカのトランプ政権の発足によって、その弱点がさらに明らかになりました。ストックホルム国際平和研究所のケルンバーグ氏とエラスト氏の2人の研究員は、次のように語っています。

 

「トランプ政権は、道の中途で、核合意に関する協議を提案しており、これに関してヨーロッパとロビー活動を行っている」

 

とはいえヨーロッパは、数々の声明の中で、核合意に関する再協議の提案に反対しています。EUは、核合意の一員として、この合意を経済利益のために維持し、その完全な実施を支持しようとしています。また一方で、アメリカの制裁に巻き込まれるリスクを減らすため、核合意の問題を、イランのミサイルやその他の問題と切り離そうとしています。ストックホルム国際平和研究所は次のように記しています。

 

「アメリカの制裁により、ヨーロッパとイランの合法的な貿易に影響が出た場合、EUの選択肢は、核合意の将来を決定する上で、重要な要素となる可能性がある」

 

明らかなのは、核合意が実施されてからの2年近く、ヨーロッパのいずれの国も、それぞれ異なる理由で、イランと透明な経済関係を有することを望んできたということです。しかし同時に、イランとEUの関係は、イランのミサイル能力や地域政策、人権問題などのアメリカの干渉的な政策と絡み合い、本来の問題ではない問題が色濃くなっています。一部の立場は、この点を物語っています。

 

例えば、フランスのマクロン大統領は、発言の中で、地域情勢を悪化させているとしてイランを非難し、「イランのミサイル計画や地域での活動に対して断固とした対応を取る必要がある」と主張しました。

 

EUのモゲリーニ外務安全保障政策上級代表も、ワシントンポストに寄稿した記事の中で、次のように記しました。

 

「再協議はEUの選択肢にはないが、EUは、イランの弾道ミサイルや地域情勢に関しては、アメリカと共通の懸念を有している」

 

アメリカのシンクタンクは、核合意を巡るアメリカの選択肢について次のように記しています。

 

「ヨーロッパのイランへの投資は、これまでのところ、現実的なものではなく、むしろ願望である。ヨーロッパの銀行は、いまだにイランとの金融取引をそれほど望んでいない。ヨーロッパの、イランとの貿易を望む熱を冷めさせることは、アメリカ政府にとってそれほど難しいことではない」

 

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、少し前に表明の中で、ヨーロッパに次のように語りかけました。

 

「ヨーロッパは、アメリカ議会が決定しようとしている制裁などの、アメリカの核合意への違反に対抗し、イランの防衛力や地域における活動といった問題について、アメリカとの同調をやめるべきだ。我々は、アメリカの理不尽な要求へのヨーロッパの同調を、決して受け入れない」

 

 

イラン暦の今年が終わろうとしている今も、EUが、アメリカと経済的に対抗する上で、政治的な連帯や意志を見出すとは、はっきりとは言い切れない状況です。果たしてEUの立場は、どの程度、アメリカに影響を及ぼすでしょうか?ロシア外交戦略研究所のミハイロフ所長は、これに関して次のように語っています。

 

「国際情勢は変化しており、ソ連崩壊後のアメリカが主張する一極主義体制は、多極主義体制に変わっている。そのため、アメリカの約束不履行が、この国の政府の力を示すことはできない。ドイツをはじめとするアメリカの同盟国でさえ、多くの国がそこから離れている」

 

EUのモゲリーニ上級代表も、これについて、「イランに関してはあらゆる問題について取り組むことができるが、核合意については別だ」と語っています。

 

イラン暦の今年、イランとヨーロッパの政府高官が互いの国を訪問し、数多くの会合が開催されました。EUはこれまで、核合意による利益を、トランプ大統領の要求によって失いたくない姿勢を見せていますが、核合意以外の問題については、それほど透明な立場を示していません。カーネギー研究所は次のように分析しています。

 

「イランはヨーロッパにとって良好な機会であり、ヨーロッパはこの機会を失いたくはない」

 

フランスをはじめとする一部のヨーロッパ諸国は、核合意を経済的な利益という角度からとらえており、その維持と完全な実施を訴えているのも、そのためです。フランスは、核合意後、イランと最も多くの経済合意を締結していますが、この国の政府関係者は、しばしば、アメリカ寄りの二面性のある立場を示し、イランのミサイル計画を懸念している態度を取ろうとしています。

 

明らかに、EUのイランとの関係は、戦略的な関係によって決定され、国内、国際レベルの両方で、政治、安全保障、社会、経済、貿易、金融といったすべての分野に渡るように計画されています。

 

EUは、イランの核合意の順守を認めないトランプ大統領の決定を、アメリカの国内に関する問題と見なしています。このような立場は、EUが、核合意による利益が、アメリカ国内の問題の影響下に置かれるのを望んでいないことを示しています。

 

こうした中、EUは、すでに予想されていたように、イランに関して提起されている主張についても考慮しています。とはいえEUは、2つの道のうちのどちらかを選択せざるを得ません。

 

一つ目の道は、独立した決定を取ることです。それによってEUは、国際レベルで認められる行動をとり、国際関係におけるEUの地位や信用を示すことになるでしょう。二つ目の道は、アメリカの圧力に屈することです。そのような立場をとった場合、このプロセスは間違いなく、核合意だけに限られず、EUの将来にとって、大きなリスクを背負うものになるでしょう。

 

EUは、中間の道を歩み、核合意による政治的、経済的な利益を維持する政策を勧め、アメリカに100%反対することは避けようとしているようです。EUの関係者は、この問題に関する自分たちの選択をアメリカ政府に伝えようとしていますが、それはアメリカに歩み寄ることを示し、逆の結果をもたらすことになるでしょう。

 

こうした中、ヨーロッパは核合意において、いまだにはっきりとした方針を決定していないと言えるでしょう。

 

 

2018年03月20日20時18分
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