イランのお正月、ノウルーズの慣習の一部は、年末に関するものです。実際、新しい年を迎えるための準備と、年の移り変わり、新年の始まりの日々に関するものを含んでいます。

前回の番組では、新しい年を迎えるにあたっての慣習をいくつかご紹介しました。この時間は、年の移り変わりの瞬間、ハフトスィーンと呼ばれる飾り物、新年の始まりの日々の伝統についてお話ししてまいりましょう。

 

イラン人の国民的な祝祭であるノウルーズは、中国の新疆ウイグル自治区から、中央アジア、コーカサス、インド、アフガニスタン、パキスタン、イラク、トルコに至るまでの広大な範囲で祝われています。ノウルーズは、人生への希望の具現です。この祝祭は、12か国の共通の遺産として、ユネスコの世界遺産に登録され、注目に値する特徴を有しています。

 

ノウルーズの儀式では、人間としての道徳が特別な地位を有しており、それぞれの地域の文化に合わせて実施されるための国際社会への贈り物として紹介することができます。年長者への敬意、友人や知り合い、家族や親せきへの訪問、家族への注目、公正、友愛、善行、贈り物、清潔さといった事柄が、ノウルーズの伝統や慣習の一部であり、時の経過と共に、その新鮮さと魅力を保ってきました。

 

ハフトスィーンという飾り物は、イラン人のノウルーズの最もよく知られる風習です。この飾り物は、新鮮さと喜びの象徴であり、年の移り変わりの瞬間に家族が集まるきっかけとなっています。

 

春の最初の日、新しい年の始まりと共に、家族全員が互いに助け合い、家の中をきれいに飾ります。体を洗い、新しく清潔な服を着て、ハフトスィーンと呼ばれるノウルーズの飾り物のそばに座り、新しい年を愛情と喜びに包まれた空間の中で迎えます。

 

ハフトスィーンの飾り物には、7つの植物や食べ物が飾られます。この7つの飾り物はすべて、ペルシャ語のアルファベットのS、スィーンで始まるもので、豊穣の象徴です。まずは、ハフトスィーンの飾り物をひとつひとつ見ていきましょう。

 

ハフトスィーンに飾られるものは、まず、サブゼと呼ばれる青草です。これは再生や喜び、緑の象徴であり、自然と人間の生活の結びつきを示しています。次にサマヌー。これは麦芽をペースト状にした食べ物で、植物の生育と実りの象徴です。そしてスィーブと呼ばれるリンゴ。これは健康、美しさ、実りの象徴です。次にセンジェド。これはホソバグミの赤い実で、愛情や生の象徴です。また、ソマーグと呼ばれる香辛料やスィールと呼ばれるニンニクは、人生における喜びの象徴であり、健康を保つための薬を示します。そしてセルケと呼ばれる酢。これは作るまでに時間がかることから、忍耐の象徴とされています。

 

これらに加え、イラン人は別の象徴もハフトスィーンに飾ります。創造の象徴である卵、統一や明るさの象徴である鏡、人生における清らかさや恩恵の象徴である水、イラン暦最後のエスファンド月を示す、活力や人生の象徴である金魚、そして、商売の繁盛や投資の象徴である硬貨、明るさや熱、光の象徴であるろうそくです。

 

この他、杉の木の枝やスイセンの花もハフトスィーンに飾られ、その香りは春の訪れを告げるものです。また、砂糖菓子などが飾られることもあります。これらすべてと共に、イスラム教徒の聖典であるコーランは、ハフトスィーンの飾り物の中でも特別な地位を有し、欠かせない要素のひとつとなっています。

 

年が移り変わる瞬間になると、家族は精神性に溢れた雰囲気の中で、新年の祈祷を読み上げます。この祈祷の中では、神に対し、この自然の開花と変化を前に、自分たちの状態も最高のものになるよう祈ります。それから、コーランの節が読み上げられます。

 

通常、年が移り変わった後、家族の年長の者が、エイディと呼ばれる贈り物やお年玉を家族に配り、共においしいお菓子を口にし、お祝いの言葉を交わします。

 

イランでは、宗教的な信条に基づき、年の移り変わりの瞬間を、宗教施設や巡礼地の精神的な空間の中で迎え、これらの場所に埋葬されている偉大な人々の恩恵にあずかろうとする家庭もあります。

 

これらの精神的な場所で年の移り変わりの瞬間を祈祷や崇拝と共に迎えることで、人々の心に光と活力がもたらされます。そのため、毎年巡礼地、特に聖地マシュハドにあるイマームレザー聖廟、ゴムのマアスーメ聖廟、シーラーズのシャーチェラーグ廟、その他の巡礼地は、多くの人で溢れかえります。

イマームレザー聖廟

 

毎年、年が移り変わった後には、親戚を訪問する好ましい習慣が始まります。これはノウルーズの最も美しい贈り物で、人々の心を互いに近づき、家族や友人が互いの近況を知るための機会となります。

 

イラン人の文化では、年長の人々が尊重されているため、家族の中でも年少の者は、まず、自分たちが年長の人々の家を訪れるべきだと考えています。そのため、通常はノウルーズの訪問を、子供たちが良心や祖父母の家を訪れるところから始まります。

 

誰かの家を訪問したら、今度は訪問された側がお返しをする番です。そのため、新年の初めには、親戚や友人の間で互いを訪問しあうことが繰り返されます。

 

人々はこの慣習により、わだかまりを心の中から追い払い、愛情をその代わりとします。大切な人を亡くした家庭には、ノウルーズの期間に、親戚や友人が追悼に訪れ、祈祷を捧げると共に、亡くなったばかりの人の赦しを求めます。また、病人や孤独な人を慰めるために彼らに会いに行く人もいます。ノウルーズになると、孤児院や病院は、最も美しい愛情の具現の場所となります。

 

イランの多くの人は、ノウルーズの美しい慣習と共に、イラン各地を旅し、日常生活に変化をもたらします。ノウルーズの期間は、各地を訪れるための貴重な機会です。ノウルーズの期間になると、イラン各地で、大勢の旅行客の姿を目にすることになります。

 

ノウルーズの最後の行事である、ファルヴァルディーン月13日のスィーズダべダルでは、古くからの慣習に従い、多くの家族が友人や親せきと共に、春の自然の中でこの日を過ごします。

 

ノウルーズの祝祭は、友情、誠実さ、愛情への架け橋であり、ハフトスィーンの飾り物と共に、大切な人と心を通わせる機会です。そして過ぎた一年について考え、今後の計画を立てるための機会でもあるのです。

 

2017年03月23日15時22分
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