2019年03月15日01時30分
  • イランの春の新年ノウルーズ
    イランの春の新年ノウルーズ

イランでは現在、春の新年ノウルーズを目前に控えて、人々が新年を迎える準備に勤しんでいます。

イランでは古い年が去り、新しい年に切り替わるまでの秒読みが始まっています。イラン人の古式ゆかしい風習であるノウルーズが間近に迫っており、瑞々しさと新しい緑の芽生えがもたらされつつあります。今や、全てのものが、春の息吹を吸い込もうとしています。

毎年、イラン暦の12月に当たるエスファンド月の最後の数日間には、イラン全国に独特の雰囲気が漂い、人々が新年を迎える準備に入ります。さらに、母国から遠く数千キロ離れた異郷の地に住む多くのイラン人たちも、ノウルーズの儀式を行い、新年を迎えます。

古くからの習慣としてのノウルーズは、自分たちの住む場所から汚れや穢れを吹き払い、また自らの心から嫌悪や怨恨を拭い去るための絶好の機会となっています。ノウルーズに見られる優れた習慣や価値観の1つに、ノウルーズのおよそ1,2週間前から始まり、ペルシア語で「家を揺らす」ことを意味する、年末の大掃除があります。この大掃除により、前の年のちりあくたが残らないよう、日ごろの住空間はもちろん、公共の場所でも清掃が行われ、市町村全体の様相が一斉に様変わりします。窓ガラスは大抵きれいに磨き上げられ、建物の壁の一部が新たに塗り替えられます。

年末の大掃除により汚れや誇りを落とすことは、住空間から死などの忌まわしい要素や古いものを吹き払い、新年を新しく好ましい状態で迎える準備をすることのシンボルとされています。実際に、人々は新年を迎える前に自らの住空間に変化を起こし、年始回りの訪問客を迎えるための準備を整えるのです。

もっとも、年末以外のほかの時期の清掃作業も注目されており、これはイスラムでも強調されているとともに、預言者も清掃を信仰心の証と見なしています。ですが、町全体や家々がきれいに掃除された状態で春という季節が始まることで、この季節の瑞々しさがよりよく感じられると思われます。

 

大掃除

 

イランの多くの家族は、それぞれの経済力に応じて、新たな品物を買い求めます。このため、年の瀬のシーズンには、街中のショッピングセンターや市場は独特の雰囲気が感じられます。特に、家庭用品や履物、衣服、乾燥ナッツ類を扱う販売店は、平常時よりも混雑します。

年の瀬を迎えた町の多くにおいては、一部の街路に臨時の露店商が立ち並び、様々な品物が販売されます。誰もが、自らの経済力に応じて、新しい衣服や靴を買い揃えるとともに、年始回りの訪問客の接待などを目的に、各種の乾燥ナッツ類や菓子類、果物などを買い求めます。

イランの古くからの習慣では、ノウルーズの日に真新しい衣服を身に着けることが慣わしとなっています。これは、樹木や草花が芽吹き、大地に緑が新たに繁茂するという、春の自然現象に倣ったもので、イラン人が春の到来とともに新しい衣服に身を包むことに、喜びや安らぎが存在すると考えていることに由来します。

さらに、イランではノウルーズに当たって、住空間を一新し、衣服を新しくするとともに、自らの精神状態をも、情愛やすがすがしさに満ちたものにします。このため、ノウルーズには、人々の間には共感や励ましがさらに大きく広がります。

また、ノウルーズのもう1つの習慣として、家族親戚や、友人知人を訪問しあう年始回りが挙げられます。イラン人の各家庭は、この際に各種の菓子類や果物、乾燥ナッツにより訪問客を接待します。このため、イラン人の年末の買い物リストには普通、これらの品々が含まれています。

ノウルーズにイラン人の家庭で最も多く消費され、人気が高いのは塩味のついた複数の種類の乾燥ナッツやドライフルーツの混ぜ合わせです。これらの混合ナッツに含まれているのは、アーモンドやクルミ、クワの実、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、干しアンズなどで、イラン暦の最後の火曜日の夜に食べることが多くなっています。

 

 

 

 

イラン人がノウルーズを迎えるに当たって行うもう1つの習慣に、レンズマメなどを濡らして発芽させ、サブゼと呼ばれる装飾用の新芽の束を造るというものがあります。ノウルーズまで後数日というときに、彼らは平たい盆や陶製の器などに、小麦やレンズマメなどを濡らして発芽させ、新芽が長く伸びてくるのを待ちます。イラン人は、生きていることや恵みのシンボルであるこの緑の新芽の束を、ノウルーズの初日に、新年の7つの縁起物の1つとして食卓に並べ、13日目となるノウルーズの最終日に、長く伸びたこの新芽の束を川などに流します。

 

ノウルーズの最大のシンボルは、ペルシャ語のアルファベットのSで始まる7つの縁起物、ハフトスィーンだと言えます。イラン人の各家庭は、年が切り替わる前日、或いは2日前にこの7つの縁起物を買い揃え、家庭内での団欒にふさわしい空間を整えます。

この7つの縁起物とは、ホソバグミ、にんにく、発芽させた新芽の束、スパイスの一種であるソマーグ、リンゴ、麦芽のペーストであるサマヌー、ビネガーであり、さらにはコーランやコイン、卵、鏡、金魚などが添えられます。

この7つの縁起物のうち、甘いペーストのサマヌーは小麦の新芽のエキスから作られ、栄養価が高いことで知られています。イランの一部の地域では、年末の数日間に独自の方法でこのサマヌーを造ることが、各家庭の慣わしとなっています。

それから、イランの多くの地域に普及しているノウルーズ前の習慣には、新年のためのお菓子作りもあります。イランの一部の地域では、女性たちが共同でノウルーズのためのお菓子を作ります。これらのお菓子は普通、独自の調理法により作られ、品質がよく、独自の趣向により装飾が施されています。もっとも、特に大都市圏では現在、多数のお菓子屋さんがあることから、ノウルーズ用の菓子類は簡単に入手できます。

 

ハフトスィーン

 

 さらに、小さな市町村ではたいてい、地元独自の各種のパンが製造されています。主婦の女性たちは、甘みのある特別のパンを焼き、ノウルーズの到来に備えます。

 

イランでは普通、各家庭で新年が明ける前日の夜に特別なご馳走が作られ、家族全員で集まり、親密感があふれる中で夕食を共にします。

イランの多くの地域では、ノウルーズの1週間ほど前の時期になると、結婚する予定の男性がいる家庭は衣服やサマヌー、宝石や布地、お菓子、乾燥ナッツ類などを、いわゆる花婿の側からの贈り物として、相手の女性の家族の自宅に送り届けます。また、結婚して間もない女性の家族も、年明けの前夜の夕食や果物、贈り物、衣服、乾燥ナッツ類を新婚夫婦に送ります。

 

イラン人の間では、本来は年賀状を送る習慣もあります。普通は、ノウルーズの際に家族から遠く離れて暮らしている人が、美しい風景画や春の草花などの描かれたカードなどを添えて、心のこもった手紙を家族に送るというもので、これにより、遠く離れた家族と新年を迎える喜びを分かち合います。

しかし、近年ではこうした新年の挨拶もインターネットや携帯電話など、先進情報技術の発達により、EメールやSMS、ソーシャルネットワーク、テレグラムなどで行われることが多くなっています。中でもインターネット空間は、音声や画像面で魅力的な可能性を持つ事から、現在では新年のメッセージを交換する最新鋭の手段として、イラン人の間に幅広く普及しています。

 

 

 

 また、墓参の習慣も年末の最後の10日間にイラン全国で見られる習慣の1つです。奥深い意味を持つこのしきたりにおいては、墓参に加えて、通りすがりの人々への願掛け用の菓子類の配布なども行われます。

さらに、イランの多くの地域では、年の瀬を迎えた際に、身内に不幸があり喪に服している近親者のために明るい色の衣服を用意し、喪服から普通の服に着替えるよう促す習慣もあります。ほかにも、イランで年末に見られる習慣として、年長者が不和対立を抱えている家族や人々の仲裁にあたるというものがあります。

 

歳末助け合いに恵まれない人々への支援が挙げられる

 

そして、年の瀬に見られるもう1つの習慣として、いわゆる歳末助け合いに相当する、恵まれない人々への支援が挙げられます。このため、毎年ノウルーズの直前には、イラン全国で恵まれない人々のための金品の募集活動といった、公の活動が見られます。これは、恵まれない人々に物的、精神的、倫理面での奉仕活動を行い、彼らとも新年の喜びを分かち合うことを目的としています。

 

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