イランのノウルーズは、イランの古典音楽とも言うべき、旋法体系に基づいたダストガー音楽や、地方の音楽の中にもうかがえます。昔から、イランの音楽家は、ノウルーズなどの祝賀行事に際して、こういった音楽を演奏していました。

ノウルーズの祝祭の英知のひとつは、イランの長い歴史の中で、ショーや音楽といった芸術を保存してきたことです。イランの古典音楽においても、ノウルーズと、ノウルーズが特別視されてきたことの痕跡が伺えます。

イランの音楽に関して書かれた、最古の書物では、ノウルーズの名前が記されたさまざまなイラン音楽の小曲が述べられ、それらはイランの古くからの音楽からとられたものだ、とされています。

また、ほかの歴史書では、ノウルーズの曲は年の初めに演奏され、それぞれが特定の日や式典に関係していたとされています。

 

 

現在、イラン古典音楽の旋法体系では、ホマーユーン旋法とラーストパンジガー旋法の中で、ノウルーズの名前を持ついくつかの小曲による作品が演奏されています。イラン古典文学や歴史書、辞書の多くでも、ノウルーズの曲に関する記述が伺え、マヌーチェフリー、ハーフェズ、モウラヴィーといった詩人は、ノウルーズとその音楽に触れています。

このような書物や詩に注目すると、3世紀から7世紀にかけてイランで栄えたサーサーン朝時代、毎日、それぞれの日について、曲が作られ、古代イランの音楽の巨匠であるバールバドのものとされる360の曲が伝えられています。

現代イランの古典音楽の旋法体系では、ノウルーズは、ホマーユーン旋法とラーストパンジガー旋法の中で、ノウルーズ・アラブ、ノウルーズ・サバー、それと先ほどお聞きいただいたノウルーズ・ハーラーといったフレーズの中に凝縮されています。

イラン音楽の巨匠、アスキャリー・ファラーハーニー氏は、イラン音楽におけるノウルーズについて、次のように語っています。

「ノウルーズが祝われるようになってから、音楽の巨匠は、このための作曲を行い、ノウルーズという名前をつけたが、これはラーストパンジガー旋法の『ノウルーズ・アジャム』というフレーズの中にうかがえる。これは、最初はゆったりとしたリズムで始まり、その後大変ドラマチックな感じで続く。『ノウルーズ・ハーラー』は、また別の小曲で、このフレーズは3つの部分に別れる。そして、ホマーユーン旋法とラーストパンジガー旋法における『ノウルーズ・サバー』は、4つの部分に分けられる」

 

打弦楽器サントゥールによるノウルーズ・サバー

 

ノウルーズ・アラブは、その名前とは逆に、イランの古典音楽のエモーショナルな曲です。このフレーズは現在、ホマーユーン旋法とラーストパンジガー旋法で使われています。これは、導入部と、いくつかの部分に分けられます。

ノウルーズ・ボゾルグもまた、古い曲ですが、現在ではほとんど知られておらず、古典音楽の旋法体系からもれ落ちてしまっています。また、ノウルーズ・ケイゴバーディーという曲も喜びをもたらし、以前は古典音楽体系のチャハールガー旋法の中に含まれていましたが、現在ではその名前が残っているのみです。それでは、打弦楽器サントゥールによるノウルーズ・サバーと、ケレシュメというリズムのある曲をお届けしましょう。

イランで新年が開けてすぐにソルナーやカルナーといった吹奏楽器を聴くことは、記憶に残るノウルーズのひと時のひとつになるでしょう。

この。ソルナーやカルナーといった吹奏楽器はイランの楽器の中では音量が大きく、さまざまな使い方があります。これは動物の角から作られていましたが、ソルナーは現在では、それより進化したものとなっています。

イランの詩の中では、ソルナーはさまざまなつづりで記されています。イラン南西部デズフールなどのバフティヤーリー族の居住地では、小さなソルナーを吹くことが一般的でした。バフティヤーリーのソルナーはたいてい、ドホルという大きな両面太鼓とともに演奏されます。新年に演奏されるこの2つの楽器の興味深い特徴とは、外で大音量で演奏されることにあります。

年の移り変わりの曲は、イランの人々から高い支持を得ており、それを聞くことで、バフティヤーリーの音楽に親しむことになります。イランの大きな都市では、ナッガーレというラッパを吹くための特別な場所があり、そこでは特別な場合に、ドホルやカルナーといった楽器が演奏されていました。

この場所は、数十年前まで、現在のイラン外務省のあるテヘラン中心部に置かれていました。また、北東部の聖地マシュハドでは、このナッガーレが演奏される場所があり、今でもそれが演奏されています。

メフディー・プールデフコルディーは、イランの地方音楽の優れた演奏家の一人で、ナッガーレやカルナーという楽器を演奏していました。彼はイランのチャハールマハールバフティヤーリー州の中心都市、シャフレコルドの出身でした、プールデフコルディー氏はそのキャリアをカルナーやソルナーといった地元の楽器の演奏からはじめ、後にこれらの楽器演奏の巨匠となりました。

プールデフコルディー氏はまた、弓で弾く弦楽器、キャマーンチェのすばらしい演奏家でもあり、イランの国内外の音楽祭に参加し、さまざまな賞を得ました。彼は2011年のノウルーズをあと数日に控えた日、74歳でなくなりました。

彼のソルナーやカルナーと、アリー・ヘイダリー氏のドホルの演奏は、ノウルーズの祝祭と共にイランの人々の記憶に残っています。その演奏を聴けば、新年の雰囲気に浸ることになります。新年にソルナーやカルナーを演奏する場合、イラン古典音楽のチャハールガー旋法で演奏されます。これらの楽器の演奏がテレビやラジオで放送されるようになってから、数十年がたっているのです。

 

 

2018年03月29日19時44分
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