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    ルーブル・アブダビ

最近、アラブ首長国連邦のアブダビに、フランスのルーブル美術館の別館「ルーブル・アブダビ」がオープンしました。この美術館の建設費用は、15億ユーロと言われ、600点を超える世界の芸術作品が展示されています。

アラブ首長国連邦のアブダビ

フランスの関係者は、このイスラム教国でルーブル美術館の作品を展示する上で制限は設けられていないと語っています。今夜のこの時間は、この美術館の開館にまつわる出来事についてお話しましょう。

 

ルーブル・アブダビ

ルーブル・アブダビは、アラブ首長国連邦のアブダビにある美術館です。この美術館は、アブダビのサーディヤット文化地区にあり、その建設は10年前から行われ、今月8日、フランスのマクロン大統領によってオープンしました。ルーブル・アブダビは、フランスの建築家、ジャン・ヌーベル氏によって設計されました。

 

ルーブル・アブダビは、アラブ首長国連邦で初の大きなミュージアムギャラリーで、文化や芸術の点で地域に重要な影響を及ぼす以上に、観光の見所としても成功することができるよう、数百点の絵画や芸術作品が収集されました。

 

イラン南部のシューシュで発見された、紀元前4200年から3800年の動物のデザイン、幾何学模様の花瓶

ルーブル・アブダビのオープニングセレモニーに出席したイランの代表者はいませんでしたが、このミュージアムの数々の展示室に飾られているイランの作品は、見学者の注目を集めました。これらは、さまざまな時代のイラン各地の作品です。その中には、イラン南部のシューシュで発見された、紀元前4200年から3800年の動物のデザイン、幾何学模様の花瓶があります。この花瓶は、パリのルーブル美術館から貸し出されました。

 

また、紀元前510年のアケメネス朝時代の弓をいる兵士の岩のレリーフも、見学者の注目を集めています。この作品もシューシュで発見されました。このアケメネス朝の兵士の横には、ライオンのブロンズ像があります。このライオンの像は、紀元前330年から550年のアケメネス朝時代のものだとされています。

 

ルーブル・アブダビ

ところで、美術館、博物館には、他国の芸術家による作品や歴史遺産の他に、どのようなものが展示されるのでしょうか?その博物館がある国の芸術作品や歴史遺産も展示されるべきなのではないでしょうか?

アラブ首長国連邦

アラブ首長国連邦は、7つの首長国が統合して1971年に結成されて以来、経済的な利益のみを考えてきました。ペルシャ湾の人工島の建設拡大は、環境問題の点からペルシャ湾の損害になるだけでなく、政治的な主張も招いています。その主張は、イランの領土であるペルシャ湾の3島に関する不当な領有権の主張と同様のものになるでしょう。

アラブ首長国連邦

 

アラブ首長国連邦が、領土を拡張するための無駄な努力を続ける中で、歴史を持たないこの地域では、ルーブル・アブダビの建設をはじめ、世界遺産を作るための努力が行われています。アラブ首長国連邦は、芸術的、文化的なアイデンティティを持たないため、それらを物語るような作品や絵画は存在しません。そのため、自国の美術館や博物館に作品を展示するために、他国の力を借りなければなりません。このため、莫大な収入を得ることで、ルーブル・アブダビなどの美術館の建設、セミナーやフェスティバルの開催により、アイデンティティを築くためのプロジェクトを実施しています。

 

アケメネス朝時代の弓をいる兵士の岩のレリーフ

 

ルーブル・アブダビの建設は、2007年の契約締結後に始まり、6億5400万ドルをかけて行われました。その費用は、アラブ首長国連邦が負担しました。フランスとアラブ首長国連邦の間で締結された30年に渡る合意により、フランスは、芸術作品を提供する見返りとして、10億ユーロを手にすることになります。そのうち、4億ユーロは、ルーブルという名を使用する権利に対するものです。

 

ルーブル・アブダビにまつわる出来事は、これだけではありません。ちょうど2年前の2015年11月、当時のフランスのオランド大統領は、イラクとシリアでテロの脅威にさらされている古代遺跡や文化遺産を保護するため、それらの作品を、ルーブル美術館の管理のもとでフランス北部に開館する予定の場所に移転することを提案しました。

ルーブル・アブダビの数々の展示室に飾られているイランの作品は、見学者の注目を集めました。

オランド元大統領は、この保護センターの第一の役割は、パリのルーブル美術館の作品を保管することであり、このほかにも、残念ながら、世界が目にしている災難、あるいは、シリアやイラクで脅威にさらされている文化遺産に関するものがあると語りました。

 

これ以前にも、テロ組織ISISによるイラクやシリアの古代遺産の組織的な密売について、警告されていました。一部の報告は、紛争下にある国々の古代遺産が、一部のヨーロッパ諸国に密売されていることを物語っています。

 

ルーブル美術館のイランの作品

当時、フランスのユネスコ代表も、「イラクの古代遺産は大きな危機にさらされており、対話と平和の確立における文化や古代遺産の重要性に注目すると、この問題は特別な重要性を帯びている」と語りました。ISISは、これらの古代遺跡をイラクから持ち出すためにトンネルを掘り、それをヨーロッパやアジア諸国に売却し、資金源を確保しているとも言われていました。

 

フランスのルーブル美術館の行動は、違法な取り引きによる古代遺産の密輸業者と美術館の癒着を示しています。たとえば、この美術館のイラン・イスラムコーナーの最近の動きを見てみましょう。このコーナーは、1年ほど前、イランのさまざまな時代や都市に関する歴史的なタイルによって装飾されました。イランの歴史的な建造物のタイルが盗まれたことが報道され、文化遺産の専門家が、これらの作品の他国への移転について語っています。このことから、この問題は専門家による注目を浴びています。

 

ルーブル美術館のイランの作品

昨年、パリのルーブル美術館をおとずれた テヘラン大学文学部の考古学研究者、キャリーミヤーン博士は、この美術館のイランコーナーに多くの古いタイルが展示され、それが発見された日付や場所やいつの時代のものかについて完全な情報が示されていないことを目にし、次のように語っています。

 

「以前にルーブル美術館にやってきたのは2014年のことだった。だが当時もそれ以前も、ルーブル美術館にはこれほどのタイルは存在しなかったが、今回、これほど多くのタイルがあったのは、非常に驚くべきことだった」

 

キャリーミヤーン博士はさらにこのように語っています。

 

「イスラムコーナーには、イランの建造物の装飾、およそ2000点から3000点が展示されていた。興味深かったのは、それまでは非常に限定的だったのに、これほど多くの装飾品が、ルーブル美術館に展示されるようになったのは、なぜだろう、ということだった」

 

キャリーミヤーン博士は、「これらすべての作品は、歴史的な建造物の装飾に使われていたものであり、イランから他国に密売され、その買い手は通常、エルミタージュ美術館、ルーブル美術館、大英博物館、あるいは日本やアメリカである」と強調しています。さらに、「世界の美術館委員会は、こうした取り引きを阻止するための法を定めており、早急に対策が取られることが望まれる」と強調しています。

ルーブル美術館のイランの作品

 

ISISによる古代遺跡の密売について、発言や報道が行われたため、ある国際的な研究グループが、ルーブル・アブダビの展示品を調査しました。この国際委員会は、専門的な調査の結果、この美術館には、イラク、シリア、エジプトからの窃盗品が数多く存在すると発表しました。さらに、こうした窃盗品の一部は、密売業者によってアラブ首長国連邦に売却されたもので、それらの業者はテロ組織とつながっているということです。

 

アラブ首長国連邦ボイコット・キャンペーンは、ルーブル・アブダビの多くの展示品の窃盗方法について明らかにするための戦いに関して明らかにしています。このキャンペーンの責任者であるグリン氏は、この美術館の構想すらも受け入れていません。なぜなら、歴史を持たない国がそれを実施しているからです。このキャンペーンが発表した声明は、観光客に対し、この美術館を見学しないように呼びかけています。なぜなら、この美術館はパリのルーブル美術館の名を汚しているからです。

 

アラブ首長国連邦ボイコット国際キャンペーンの報道官は、歴史を持たず、人権を重視しない国によるこのプロジェクトを否定するとし、「この美術館の建設に携わった労働者たちは、人権を侵害され、長期間、厳しい暑さの中で、多くの人が命を落とした。このキャンペーンは、ヒューマンライツウォッチの報告を発表したが、その中で、美術館建設中に労働者がどのように侮辱されたか、賃金が支払われず、渡航の許可も下りなかったことなどが発表されている」と語りました。

 

フランスのルーブル美術館には、3万5000を超える歴史、文化、芸術品が展示されており、年間およそ800万人がこの美術館を見学しています。イランからは、2500点の歴史遺産が展示されていますが、そのうちの大部分は違法に購入されたり、それらがなぜそこにあるのか、はっきりとした答えが返っていないものです。

 

2017年11月30日22時45分
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