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今回は、インターネットが生活様式に及ぼしている影響について考えていくことにいたしましょう。

インターネットは近年、他にはないツールとして世界のすべての人々が使える通信ネットワークとなっています。このネットワークには、大量の情報やコミュニケーションの可能性が溢れており、誰でもコンピュータへの習熟度や経験、国籍などに関係なく使用できます。インターネットは、現代世界ではごく当たり前のものとなっているのです。
インターネットの使用が飛躍的に拡大していることは明らかです。インターネット技術の拡大により、これを使用する人々は次第にインターネットが習慣となり、これに依存し、ごく個人的な用件にまでもインターネットを使用するようになってきています。今や、私たちの日常生活スタイルの深層までも、インターネットの影響を受けているのです。

生活様式の概念の出現
生活様式という概念は、20世紀の初めにオーストリア出身の精神科医アルフレッド・アドラーにより提唱され、先進的な思想として名声を博しました。もっとも、生活様式の全般に対するアドラーの視点は、単に精神医学に留まり、社会学などを初めとしたそのほかの学問の領域には注目していません。しかし今日、この概念は心理学や行動科学、経済、経営、市場開発、社会学、文化的な研究やコミュニケーション学といった学問とも、直接的、或いは間接的な関係を持つようになっています。
生活様式の明白な特徴の1つは、それが個人の選択によるものであること、そしてもう1つはそれがその人の人格を示し、他人の中で個を定義するものだということです。過去において、生活様式というテーマの探求は大きな困難に直面し、さらに詳しい研究を必要としています。しかし、人々の生活にテクノロジーが浸透したことにより、1つの基準として示されている生活様式が、選択的名なものであるという考え方に対して、疑問が提示されています。
ITの出現と世界のグローバル化
過去においては、社会的なアイデンティティの形成には、居住地が重要な役割を果たしていました。当時、人々は閉ざされた小さな環境で生活しており、彼らの社会的なアイデンティティは、特定の環境の中で周りの人々との距離的に近い関係を通じて形成されていたからです。そうした環境では、外部の環境と接触することは殆どなく、その土地の伝統が人々のアイデンティティの大部分を占めていました。しかし、現代化、特に通信技術の出現に伴い、アイデンティティの形成に地理的な場所が果たす役割は極めて小さくなりました。それは、メディアやIT技術が、場所に関係なく世界と結びつけることができるからです。その結果、人々のアイデンティティのより所が増え、アイデンティティの形成はもはや特定の場所に限定されない、世界的な側面を帯びてきています。
さらに、通信技術が人々の社会生活に浸透してきたことで、この技術の使用者の間に非常に大きな類似性が見られるようになってきています。こうした状態では、生活様式の多様性という主張とは逆に、社会に対して画一化や、表面的に選りすぐれているとされる生活様式に従うことが強要されることになります。また、人々の生活様式は好むと好まざるとに関わらず、メディアが発信する数え切れないメッセージの影響を受けており、私達は新時代を迎え快適な生活をおくるために、現代的なツールを利用する必要性から、自分や他人の生活のために、それらを利用することを受け入れています。

ソーシャルメディアの出現
産業化時代におけるテレビが、労働者階級の生活の中で特別な機能、特に彼らの生活における余暇や空いた時間を埋めるという働きをしているなら、ネットワーク社会ではソーシャルネットワーク上に参加し、マルチメディアなどを利用することは、日常生活における必要性を超えて、自由時間を埋める趣味として、産業化時代におけるテレビのような特別な存在です。

新たな通信技術が、人々やさまざまな文化を経済や地理、政治の点から互いに引き離していた境界線を、事実上取り去ったということは、全ての人々が認めています。これについて、イランの産業運営機関の専門家であるアリープール氏は、先進技術が私達の生活に及ぼした最も重要な影響の1つを、生活様式の変化だとしており、これは実際に私達の趣向や美的な感覚を完全に変えたと見ています。このため、こうした技術が生活様式を変化させる時には、即ち環境を変化させ、人々のために技術に比例して使用されるモラルにそった新たな体制を生み出すのです。アリープール博士はまた、次のように述べています。
「あなた方はもはや、1人の人間としてではなく、技術の一部として生きていることになる。即ち、新しいアイデンティティを見出し、技術の舞台における役者として行動している」
ソーシャルメディアを利用するには、それほど多くの費用はかからず、専門的な知識や高度な学識も必要ありません。なぜなら、ソーシャルメディアの多くは、様々な言語をカバーしているからです。さらに、それらの1つ1つにおける活動方式や形式が互いに似通っており、簡単な言葉を使っていることから、使用者はそれを簡単に使用できます。その結果、ソーシャルメディアの使用者の数は日増しに増えることが見込まれます。
ソーシャルメディアは、簡単に使えることに加えて、プライベート化できることや自由な表現が可能であることから、自分が見たいものや伝えたいものへの傾倒が強くなります。ソーシャルメディアでは、メディアとその使用者の間の境界線が明確ではありません。これらのメディアの運営者が、使用者の投稿を妨害することは滅多にありません。また、人々がソーシャルメディアに惹かれるもう1つの理由に、様々なサークルに加入したり、ある明確なテーマを目指して集まってきた人々が交流したり出来ることが挙げられます。

データに見るソーシャルメディアの影響
ソーシャルメディアは、この数年間で世界の人々の生活様式に根本的な変化を引き起こしています。もっとも、こうした変化の度合いは、それぞれの社会の地理的、文化的な経済的な条件により異なります。それではここで、ソーシャルメディアの影響や、生活様式の一部としてのその存在が提起されていることをよりよく理解するために、幾つかの統計資料をご紹介することにいたしましょう。
統計によりますと、1日当たりおよそ3000億件のEメールが送信されています。フェイスブックが1つの国だったと仮定すると、これは世界第3位の人口を有する大国となります。また、フェイスブックでは、1日あたりおよそ20億以上の「イイネ」がクリックされており、ツイッターでは、1日あたり3400億のツイートという短文を投稿しています。全体としては、ユーザーによるフェイスブックの利用時間の合計は、1日当たり2万年以上に上ります。
これらの事柄は全て、今日ソーシャルメディアの中で文章を書いたり写真を投稿したり、コンテンツを運営している使用者の多くが、ソーシャルメディアへを自らの生活の一部として受け入れていることを示しています。彼らは、携帯電話やコンピュータにより、家庭や職場、空港、喫茶店、映画館などで、常に全世界とオンラインで繋がっていることになります。
また、これらの人々はほかの人々が書いた内容を読み、また自分の気に入った内容を共有したり、他人に転送するといったことに多くの時間を費やし、自分の生活を実世界とインターネット空間の2つに分割していることを認めています。

生活様式という概念は、最近出てきたものであり、現代化された新しい世界の特徴の1つとされています。明らかに、社会で活動する人々は文化的な産物や最新鋭のメディアの影響のもとで自らの価値観や趣味を形成しているのです。こうした趣味や価値観は、彼らの行動に現れ、最終的には彼らの生活様式の形成につながります。新たな通信技術、そして生活様式という2つの概念は、比較的新しい概念ですが、それぞれの社会において決して回避できないものです。そして、これらの特質やその影響の度合いを知るには、より多くの時間と調査が必要となります。

ソフトパワーとして使われる先進技術
一方で、現代の世界では集団的コミュニケーションの手段が日々発展していることから、世界は縮小化しています。各国の関係を調整する上での、過去の方式は大きく崩れ、新しい方式がそれに取って代わっています。即ち、大国の注目は対外的な強制力の直接行使ではなく、文化や政治的価値観などを通じたソフトパワーによる戦争の利用に注がれているのです。さらに現在、メディアは大国の政策の実施のための基本的な手段として使われています。こうした中、各国の国民の思想や信条などを標的にしたソフトパワーによる戦争は、それぞれの社会の文化的、思想的な基盤を弱める上で重要な役割を担っているのです。


 

2016年02月14日20時01分
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