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昔々、二人の善良な人物がいました。

この二人は、自分たちが住む地域の人々から金を集め、貧しい家族に生活用品を買ってあげることを思いつきました。二人は共に、地域でその善良な人柄をよく知られていたことから、人々もまた、彼らの話に快く協力して、できる限りのことをしてくれました。二人は近所の家々を一軒ずつ回り、貧しく恵まれない家族のための資金集めは、順調に進んでいました。

 

こうしてある家にたどり着いたとき、彼らが家の扉を叩こうとすると、中から大きな声が聞こえてきました。父親が息子を大声で怒鳴っています。

「あと1週間、お前に金は渡さない!そうしたら金のありがたさが分かるだろう。今回のように無計画に無駄遣いすることがなくなるだろうよ!」

息子が言い返しました。

「でも父さん、僕には彼が暴利をむさぼる人間だなんてわからなかったんだ。買う前にいくらだと聞いたら、店の主人は値段を言った。僕も金を渡して出てきた。別の店で、偶然、同じ品を目にしていなかったら、余分に金を払ったなんて気づかないままだった」

 

父親は重ねて言いました。

「買う前にまず、幾つかの店で値段を尋ねて、それから買うべきだったんだ。何も考えずに店に立ち寄って、店の主人に言われるままに金を渡すなんて。金は、いくらでも生えてくる雑草じゃないんだ、そんなに簡単に金を出すなんて」

 

親子の言い合いは続いていました。一部始終を聞いていた善良な2人の人間は、互いに目を合わせました。一人が言いました。

「この家は訪ねないほうがいい。自分の息子に、品物を高く買ったからといってこんな風に叱責するような人間は、貧しい隣人のために金を出してくれないに決まっている」

するともう一人が言いました。

「でも僕たちがすべきなのは、彼に協力を求めることだ」

 

こうして二人は、その男の家の扉を叩くことに決めました。でも、協力してもらえるなんて、少しも期待してはいませんでした。扉を叩くと、しばらくしてから父親が顔を出しました。そして、二人の姿を認めると、彼らを温かく迎え入れてくれたのです。

                       

善良な2人は、ほとんど何の期待もしないまま、自分たちが行っている、近所の貧しい人々への資金集めについて説明し、こう切り出しました。

「もしよろしければ、施しの額はいくらでも結構です。あなたもこの善行に参加してはいただけませんか?」

彼らの話を聞き終えた父親は急いで奥の部屋に入っていきました。そして、戻ってきた彼の手には大金が握られていて、なんとそれをそっくり彼らに渡してくれたのです。これほどの援助をしてもらえるとは予想もしていなかった二人は、たいそう驚きました。

 

一人が父親に向かって言いました。

「すみません、私たちはあなた方お二人のやり取りを聞くつもりはなかったのですが、声が大きくて、外まで聞こえたものですから。あなたが息子さんに言っていた言葉を聞いて、こんなにたくさんのお金をいただけるなんて、思ってもみませんでした」

父親は穏やかな微笑みを浮かべて言いました。

「私が息子とけんかをしたのは、私がけちだからではありません。彼に生き方を教えてやりたかったのです。他人に騙されないように。息子は分相応に金を使うことを覚えなければなりません。しかし同時に、恵まれない人々に施しをする際には、できる限りのことをしてやるべきだ、ということも学ばなければなりません」

 

父親の言葉に、二人の善良な人物は、あらためて「精算は細かく、施しは寛大に」ということを強く心に念じたのでした。

 

2018年04月17日15時34分
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