2019年05月15日04時30分
  • 聖典コーラン
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今回も、コーラン第9章アッタウバ章悔悟についてお話ししましょう。

慈悲深く、慈愛あまねき、神の御名において

ホナインという場所は、サウジアラビアのターエフという町の近くにあり、「ホナインの戦い」という有名な戦闘は、ここで行われました。ターエフの人々、特にハワーザンとサギーフの2つの部族は、メッカがイスラム軍に征服され、イスラムが急速に広がっていくことに恐れをなしていました。彼らは、ムハンマドから戦いを仕掛けられる前に先手を打ち、彼と戦うことに決め、そのために、好戦的な戦士たちと共に、メッカへと向かいました。その知らせを聞いた預言者ムハンマドは、イスラムの軍勢をターエフへと向かわせました。およそ1万2000人の戦士たちが、ムハンマドと共にターエフに向かいました。イスラム戦士は数が多かったため、一部の人々は高慢になりました。

 

早朝、預言者ムハンマドは教友たちに対し、ホナインへと向かうよう命じました。そのとき、突然、イスラム教徒は、ハワーザンの軍勢によって、多数の矢による攻撃を受けました。イスラム教徒は、このようなターエフの軍勢の不意打ちに遭ったとき、わずかな人々を除いて皆、逃げ出しました。こうして、彼らの敗北が色濃くなりました。しかし、後にシーア派初代イマームとなったアリーは、兵力がわずかであっても敵に立ち向かい、戦いを続けました。預言者のおじのアッバースとその他、数人の教友たちが、イマームアリーの周りを囲んでいました。おじのアッバースは、よく通る大きな声を持っていました。そこで、預言者はアッバースに、近くの丘の上に行き、そこからイスラム教徒たちに、戦いの場に戻るよう呼びかけてほしいと頼みました。

 

イスラムの戦士たちは、アッバースの呼びかける声を聞いたとき、一部の人々は、ホナインの渓谷に戻ってきて、あらゆる方向から敵の軍勢に襲い掛かりました。彼らは神の助けにより、さらに前進を続け、敵たちを追い散らしました。およそ100人の敵の兵士が戦死しました。これにより、イスラム教徒は重要な勝利を手にしました。戦いが終わった後、ターエフの部族の代表が預言者の許にやってきて、イスラムを受け入れました。預言者は、彼らに深い愛情を注ぎました。

 

今お聞きいただいたのは、コーラン第9章アッタウバ章悔悟、第25節です。

「神は、多くの戦いの場で、あなた方を助けてくださった。ホナインの日、あなた方は自分たちの数の多さに驚いていたが、それは何の問題の解決にもならず、あれほど広い大地があなた方にとっては狭くなった。それからあなた方は[敵たちに]背を向けて逃げ去った」

 

バドルの戦いの頃など、イスラム教徒の数が少なかったときも、神は彼らを見捨てずに助けました。そして、イスラム教徒の兵士の数が大勢であったその日、イスラム教徒は自分たちの数に驚き、高慢になってしまいましたが、その数の多さが彼らの役に立つことはありませんでした。いずれにせよ、イスラム教徒を勝利へと導いたのは、神の加護だったのです。

 

アッタウバ章の第26節には次のようにあります。

「その後神は、預言者と敬虔な人々に安らぎを下し、あなた方には見えなかったが軍勢を送って不信心者たちに懲罰を下した。これは不信心者たちへの報いである」

 

安らぎは、神の恩恵であり、それによって人間は、最も困難な出来事に直面した際にも、心のうちから安らぎを感じることができます。重要なのは、イスラム教徒が、ホナインの戦いなどの出来事によって経験を積み、人数が多いからといって、高慢になるべきではないと学んだことです。人数が多いこと、それだけでは何もできません。重要なのは、数が少なくても、信仰と決意を持った人々が存在することです。ホナインの戦いでも、わずかな数の集団が運命を変えました。人々は、信仰と抵抗、献身の精神によって育てられるべきであり、その心は、どんなに厳しい荒波を前にしても、堅固な山のごとく立ちはだかることができるよう、神の安らぎの中心となるべきなのです。

 

アッタウバ章第103節には次のようにあります。

「彼らの財産の中から喜捨を受け取りなさい。それによって彼らが清められ、育てられるように。また彼らのために祈るがよい。汝の祈りは彼らに安らぎを与える。神はよく聞き、よく知っておられる」

 

この節では、1つの総体的な決まりとして、人々の財産の一部から喜捨を受け取るように指示されています。それから、喜捨の道徳的、心理的、社会的な側面に触れ、次のように語っています。「その行いにより、彼らは清められ、育てられるだろう。彼らは道徳的な退廃、世俗主義、りんしょくを取り除かれ、友好と寛容さの芽が育てられる」

この節は続けて、次のように語っています。「喜捨を支払う際には、彼らのために祈り、彼らに平安を送りなさい」 言い伝えによれば、人々が預言者の許に喜捨を届けにきた際、預言者は彼らのために祈りをささげていました。この節は、さらに詳しく説明するために、次のように述べています。「この汝の祈りは、人々の安らぎの源である。なぜなら、この祈りによって、人々の心は神の慈悲で満たされ、精神的な安らぎを得られるからだ」

 

また、第107節には次のようにあります。

「また、損害を及ぼし、不信心[の強化]と敬虔な人々の間に分裂を生じさせ、以前から神と預言者に立ち向かっていた人々のための拠点にするために、モスクを建てた人々がいる。彼らは善以外の目的を持たなかったと誓いを立てる。だが神は、彼らが嘘をついていることを証言する」

 

アッタウバ章で提起されている事柄の一つは、偽善者という問題です。この章の節では、偽善者たちの欺瞞的な行動の例が挙げられています。アブーアーメルという人物は、メディナのハズラジ族の間で、大きな影響力を持っていました。彼は預言者がメディナに移住した後、イスラム教徒の数が増加したために、メディナからメッカに逃れ、アラブの部族に対し、預言者との戦いのための支援を求めました。ウフドの戦いの後、イスラム教徒はこの戦いで多くの困難に直面したにも関わらず、その名を広くとどろかせました。一部の歴史的な言い伝えによれば、このようなイスラムの発展に耐えられなかったアブーアーメルは、東ローマ帝国の皇帝ヘラクレイオスと連絡を取り、イスラム教徒を倒すために軍勢を送ってほしいと頼みました。

 

アブーアーメルは、メディナの偽善者たちに書簡を送り、ローマからの軍勢と共に戦うことになるだろうと伝えました。彼はさらに、今後の活動の拠点となる場所をメディナに建設するよう勧告しました。しかし、メディナにそのような拠点を建設することは不可能でした。そのため偽善者たちは、モスクを使って、その計画を実現することにしました。

 

イスラム暦9年、預言者がイスラム教徒の一団と共にタブークの戦いに参加したとき、偽善者たちが預言者の許にやって来て、こう言いました。「雨の夜に、、あなたのモスクに来ることのできない無力な人々が、自分たちの宗教義務を行うことができるよう、ゴバーモスクの近くにモスクを建設するのを許してください」 預言者は、彼らのこの申し出を受け入れました。こうして預言者がタブークの戦いから戻った後、偽善者たちが預言者の許にやって来て、そのモスクで礼拝を行ってほしいと言いました。そのとき、天使から神の啓示が下され、彼らのたくらみが明らかになりました。この天啓の後、預言者はそのモスクで礼拝を行いませんでした。さらに預言者は、イスラムに対する陰謀の中心地となり、神によってゼラールと名づけられたそのモスクを燃やして消滅させ、そこを町のごみ集積場とするよう、イスラム教徒に命じました。いずれにせよ、偽善者たちの巧みな陰謀は、神の恩恵によって退けられたのです。

 

神は、アッタウバ章第108節で、そのことをさらに強調すると共に、そのモスクで礼拝を行ってはいけないと、預言者にはっきりと命じています。神は、最初から、不信心や偽善、対立に基づいて建設されたモスクで礼拝を行うのではなく、最初から敬虔さに基づいて建設された別のモスクで礼拝を行うようにとしています。次の第109節には次のようにあります。

「そのモスクを、敬虔さと神の命への反抗の回避、神の満足のために基づいて建てた人がより優れているか、それとも、地獄の断崖のふちに基盤を建てた人か。彼はまもなく、地獄の業火に投げ込まれるだろう」

 

このコーランのたとえは、偽善者たちの行いがいかに不安定で、信仰を持つ人々の行いがいかにしっかりとしたものであるかを明らかにしています。敬虔な人々は、建物を建てるために、しっかりとした地面を選び、その基盤に耐久性のある資材をすえるような人々ですが、偽善者たちは、洪水によって簡単に削られ、今にも崩れ落ちそうな川のほとりに建物を建てるような人々です。そのような建物は、外見上は存在するものの、その基盤は非常にもろく、いつでも崩れ落ちそうな状態です。

 

明らかに、ゼラールのモスクの物語は、あらゆる時代のイスラム教徒に、いかなるときも、表面だけを見てはならないという教訓を与えています。偽善者は、状況に応じて、あらゆる色や要素、時には宗教という衣をまとって現れます。しかし真のイスラム教徒は、どこから、どのような声が上がったとしても、それにすぐに肯定的な返事を与えることはなく、それについてよく考えます。イスラム教徒は、賢明かつ現実的で、社会や政治の問題について深く考え、分析する人間でなければなりません。また、イスラム教徒の連帯も非常に重要であり、モスクの建設がイスラム教徒の分裂の原因になった場合、そのようなモスクは、もはや神の家ではなく、悪魔の拠点となるのです。

 

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