2018年8月 3日 (福本・山口)   

●リスナーより

7月に入りまして、西日本を中心に豪雨に襲われ、岡山や広島などでは土砂災害に襲われました。岐阜でも8日に大雨特別警報が発令され、温泉で有名な下呂市では鉄道が土砂で埋まった他、郡上(ぐじょう)市と(せき)市でも3日間で1,000ミリの猛烈な雨が降り、多くの地域で避難勧告が出されました。私の住んでいる美濃でも長良川が警戒水位を超え、川沿いの地区では避難勧告が出された他、郡上市との境に近いところでは、土砂に襲われたところがありました。私の自宅は丘の上にありますが、あらためて自然の脅威を知らされました。私は地元の消防団に属しており、8日の日付が変わる0時前に出動要請が出て、長良川の支流や山沿いを3時間半ほどパトロールしました。9日に天候が回復すると梅雨明けが宣言され、それ以来猛暑の日が続いています。

 

●ラジオより

福本:

本当に、日本ではこの夏、豪雨に続いて酷暑、そして台風と、自然が猛威を振るっているようですね。リスナーの皆さま、特に被害の大きかった各県にお住まいの皆さまには心より、お見舞いを申し上げます。お便りを下さったHさんは真夜中の出動要請を受けてパトロールに当たられたとのことですね。ご家族の方もその間は、さぞご心配でいらしたことと思います。

山口: 

はい、私からも一言、お見舞いを申し上げたいと思います。私もここのところ、ずっと今回の土砂災害に関するニュースに注目していましたが、このような土砂災害は確か実に30年ぶりと聞きました。その前には大阪北部で強い地震が観測されていますし、まさに異常気象、エルニーニョ現象でしょうか。日本では近いうちに防災の日がやってきますが、いまや自然災害は世界中どこにいても、いつめぐってくるかわかりません。イランも決して自然災害とは無縁ではないですし、常日頃から備えをしっかりしておきたいと思います。 

 

 

井筒俊彦のドキュメンタリー映画

 

●リスナーより

Parstoday日本語版ご担当者さま、はじめまして。突然メールさせていただきます。中国北京在住歴16年の日本人です。先ほど、井筒俊彦先生のドキュメンタリー映画が完成したという御社の動画を拝見して、深夜ながら居ても立ってもいられず、メールを差し上げた次第です。私は元ミュージシャンで今年引退し、現在は中国現地の音楽会社で働く、一介の市井の民です。数年前から、人の生死について少しずつ考えるようになり、ふとしたご縁で曹洞宗のお坊さまと知り合いになり、禅について勉強させていただくご縁を得ました。そのお坊さまと初めてお話しさせていただいた時に頂いたご本が、井筒先生の「意識と本質」です。私にとっては今後の人生で欠かすことのできない大切で大事な一冊です。本当に多くのことを学ばせていただき、また先生の本を繰り返し読む中、数々の得難い経験もさせていただきました。私は前述したとおり、今まで誇れるような経歴功績は一切ありません。ただ、私は生涯の中で井筒先生のご本の中から「意識と本質」一冊だけでも中国語に翻訳できるのならば、自分は人間としてこの世界に生まれてきた意義を実感できるのではないか?そう考えています。

 

●ラジオより

福本:

熱い決意に満ちたお便りをありがとうございます。この井筒俊彦氏のドキュメンタリー映画、タイトルが「シャルギー・東洋人」と言います。そして、この映画の公開を記念した式典と上映会が、在東京イラン大使館・イラン文化センターの主催により、先月24日に開催されたそうです。この映画は、井筒俊彦氏の生涯・思想・業績を紹介する全編130分に渡る長編ということですね。一般公開の予定については私自身はまだ情報がないのですが、機会があればぜひ観てみたいものです。そして、井筒さんと言いますと、言語学者、イスラム学者として名を馳せていらっしゃるわけですが、私たちにとっては、何よりもコーランの日本語訳でお馴染みの方ですよね。ラジオ日本語の番組冒頭では、毎日コーランの朗誦と日本語訳をお届けしていますが、開局当初から何年かの間は、この日本語訳は、井筒さんの訳を使わせていただきました。開局メンバーの黒木敦子さんが、当時、じきじきに井筒さんの奥様に、・・・井筒さんはラジオ日本語開局の1999年当時は既に亡くなっていらっしゃいましたから・・・、奥様にお手紙ででしたか、コーランの訳の使用についてお伺いを立てて、ご了承をいただいたと聞いています。そういう意味ではラジオ日本語とも(ゆかり)の深い方でいらっしゃいますね。私は、「意識と本質」というご本は不勉強で存じ上げないのですが、知人から譲ってもらった井筒さんの「イスラーム文化―その根柢にあるもの」という本は、ラジオ日本語の仕事をする上でもとても役に立っていて、今も本棚のすぐに手の届くところに置いてあるんですよ。

山口: 

私も、初めて読んだコーランの日本語訳は、岩波文庫から出ている井筒さんのものでした。コーランの翻訳と一口に申しましても、まさに一大事業ですよね。日本語とはまったく言語構造の違うアラビア語から、しかも日本語の概念にないイスラムの概念をあえて日本語で説明するわけですから、相当のご苦労がおありだったかと存じます。コーランの初の日本語訳という大事業を成し遂げられた井筒さんは、日本のイスラム学者、言語学者、哲学者として本当に尊敬すべき存在だと感じています。

 

 

ダマーヴァンド山

 

                      

●リスナーより

イランで最も高い山は何ですか?イランには登山・山岳協会といったものはありますか?  

 

●ラジオより

福本:

この方は、インドから定期的にレポートを送って下さっていますよね。ありがとうございます。さて、山口さん、イランの最高峰と言えば?

山口:

はい、「イラン富士」としても有名なダマーヴァンド山ですよね。ダマーヴァンド山はエルブルズ(ペルシャ語読みではアルボルズ)山脈中部、テヘランの北東およそ70キロメートルの地点にあり、標高は5611メートルから5670メートルほどと推定されています。私も、実際に行ってみたことがありますが、その均整の取れた形、頂上付近に雪が積もっているところなどは、本当に富士山を思わせるものでした。但し、山頂は富士山よりもやや尖った形状で、白煙のようなものが吹き上がっているのが見えました。ガイドさんのお話では、これは水蒸気のため、白雲と間違えられることもあり、また硫黄が噴出すこともある、ということです。また、ダマーヴァンド山は地質学的には最も新しい時代である完新世(第4紀)に出来た成層火山であり、現在は休火山となっていて、最近の噴火は3万8500年前ということですダマーヴァンド山は、イランで初の国の自然遺産に指定されており、またイランの伝説上にも良く出てくるとのことです。イランの大詩人フェルドウスィーの英雄叙事詩「王書」にも、この山が出てくる部分があります。「王書」によりますと、英雄フェリドゥーンがイランの伝説上の暴君ザッハークを縛り、この山の洞窟に閉じ込めていたということです。ちなみに、ダマーヴァンドという名前の名称については諸説がありますが、ペルシャ語でダマー(むせ返るような空気、蒸気、煙)+ヴァンド(~のような、~を帯びた)ということで、山頂から硫黄が噴出し、白い蒸気のようなものが噴出している山、という解釈が最も有力だそうです。因みに、日本の著名な登山家の深田久弥さんが、登山に関する雑誌に連載しておられた「世界百名山」で、確かダマーヴァンド山を取り上げていらしたと伺っています。

福本:

そうなんですね。ダマーヴァンド山は今の時期、南山麓からの登山ルートが混み合っているのではないでしょうか。これは夏山で賑わっている日本の富士山と状況は同じですね。昨年は日本とイランの山岳協会、連盟が協力してダマーヴァンドでサマーキャンプが開催されたとのニュースも聞いています。山口さんは、イランの山岳協会という名前でよろしいのでしょうか、情報はお持ちですか?

山口: 

はい、調べてみましたところ、正式には「イラン登山連盟」だそうです。イランは地理的な点でダマーヴァンド山をはじめ、ザグロス山脈、アルボルズ山脈など海抜高度の高い山岳地帯が非常に多い事から、一般市民の間でも登山は非常に人気のあるスポーツとして親しまれているということです。また、ただいまご紹介しましたイランの高山地帯、有名な山は、広く海外にも知られていまして、こうした山に登頂するため、外国人の登山客もやってくるそうです。このように、イランで行楽・スポーツとしての登山、そしてダマーヴァンド山などの名山が注目されていることから、イラン登山連盟がスポーツとしての登山の新興発展、またイランの名山の世界での認知度の向上に努めているそうです。

 

 

コーラン

 

●リスナーより

先日、初めて番組を聞き、コーランの朗誦を聞きました。とても綺麗な歌を聞いたような感じがしました。その後、コーランの朗読を幾度か聞き、その美しい響きに感動しました。残念ながら、アラビア語はまったくわからないのですが、イスラム教徒の方から日本語に翻訳されたクルアーンの解説本をいただきました。番組でコーランのお話などを多く聞くことができ、益々興味が沸いてきます。

 

●ラジオより

福本:

確かにコーランの、あの独特の抑揚をつけた朗誦は、初めての方には歌のように聞こえるかもしれませんね。日本で唯一のシーア派聖職者でいらっしゃる澤田達一師は、「コーランはアラビア語であるからこそコーランで、翻訳されたものは、いわゆる解説書なのですよ」と、こういった趣旨のことを話していらした記憶があります。ですが、意味がわからなくては教えも伝わりませんものね。Mさんには、私たちの放送を通じて、これからもコーラン、イスラムに親しんでいただければ幸いです。

山口: 

そうですね。そもそもコーランとは、アラビア語で口に出して唱えることを意味する動詞「カラー」から派生した言葉だそうです。澤田先生が仰るとおり、コーランはアラビア語であるからこそコーランなのであって、先に出てきた井筒先生のお話によれば、意味を理解するためにほかの言語に翻訳して説明する事はできるが、そうするとコーラン本来の厳かな雰囲気が失われてしまう、とのことです。IRIBラジオ日本語では、コーランのこうした特徴に配慮しまして、まずアラビア語の原文による朗誦で、本物のコーランに触れていただき、それから日本語で皆様にわかりやすく解説するという方法をとっております。コーランは、確かに難しい書物とされていますが、その教えの内容は、いつの時代にも、また全世界で通用する包括的なものです。ぜひ、番組を通じましてコーランの醍醐味とその教えのすばらしさを味わっていただければと思います。

 

2018年08月04日15時50分
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