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自己管理に向けた第一歩は、自分について知ることです。今回は、この問題について考えることにいたしましょう。

前回は、健康のためのセルフケア・自己管理の概念についてご紹介し、セルフケアという行為は、私たち1人1人が自分の健康を維持するために、知識や技能、能力を活用することだとお話しました。この定義に基づけば、セルフケアとは私たちの意志や欲求に沿って自発的に行われ、それにより私たちが十分な知識や技能を身につけることで、自分の力で健康管理ができるようになることを指します。

私たちの多くは、実生活において多くの責任を担っていることから、ともすると自分に対するケアを忘れがちです。ですが、適切で正しいセルフケアにより、私たちは生きる事にプラスの感情を持てるようになり、自分を大切にするという価値観をほかの人にも伝えることになります。このため、セルフケアの重要な要素の1つは、自分のことを知るという自己認識だといえます。

自己認識とは、自分のニーズや特徴、目的、そして自分の弱点や強み、感情、アイデンティティなどについてより深く突き詰めていく行為を指します。

 

 

多くの場合、私たちは誰もが自分の一般的な特徴について語る際には、性別や年齢、職業などについて述べ、自分の人格や行動面での特徴については十分に把握していないのではないでしょうか。例えば、自分がほかの人よりよくできること、自分の癖や、性格の中でモラルや社会的な規範に反する点はどこか、今後の人生目標や希望、生活の中で特に優先していることや興味のある事柄は何か、自分が喜び、あるいは不快感を感じるのはどのようなときか、といったことをよく知らないことは、自己認識が不十分であることに起因します。

自分について認識することは、生きるための技術を身につける前段階でのニーズといえます。それは、この種の認識を持つ人は、自分についてより正確に認識しており、このことはその人が自分自身を維持管理し、また様々な物事において更なる進歩を遂げる上での大きな助けとなるからです。もっとも、だからといって自分自身についてよく知ることですべての問題が解決すると考えることはできません。それは、自己認識とはあくまでも長い道のりの第一歩に過ぎないからです。

ところで、私たちにとって自分自身を中立的な視点から捉えることは容易いことではありません。自分がどのような考えや信条を持っているのか、自分の強みや弱点はどのようなところにあるのか、どのような事に喜びや不快感を感じるのか、そもそも、自分が生きるうえでの目標を持っているか、もし人生目標があるなら、それはどのような事に基づくものか、といったことを客観的に考える必要があります。

 

 

 

実際に、私たちの多くは実生活において表面的な事実の発見や知識、戦術の獲得を求めています。しかし、そうした人々が自分の知識の発展や育成を求めているケースは非常に少ないといえます。

興味深いことに、中には晩年になってようやく、自分自身についてよく分かるようになる人もいる、ということです。自分自身の信ずるものや物事の捉え方、さらにそうしたものが自分の言動に及ぼす影響に気づいている人は非常に少なく、自分が不快感を感じる原因や価値観、興味の対象、言動について客観的に分析できる人はごく稀です。多くの人は、自分が前の日に行ったことを、多少なりとも次の日にも行っていることが普通です。というのも、その人は自分自身についてもっともよく知りたいという考えや意向がなく、明日も同じ事を繰り返すからです。

もっとも、ここで次の点に注目する必要があります。それは、自己認識ができるようになるのは、その人が自分についてこうだと考えていることの真偽が試され、それに関する疑問が提示され、純粋に確認されたときだという事です。自分は誰なのか、という疑問に対する答えが客観的で正確なものであればあるほど、言い換えれば、自分により正直になり、また事実に基づいて、より賢明になればなるほど、自分に対する認識をさらに深めることができる、ということです。

 

ここからは、セルフケアにおける自己認識の重要性についてお話することにいたしましょう。

セルフケアに当たっては、ありのままの自分や、理想とする自分の姿、そしてそれを求める理由についてまず、明確なビジョンを持ち、次に、今自分が持つ能力や自分の理想像を、積極的かつ賢明な形で現実に変えていく必要があります。

ここで、室内の廊下を歩き、ある部屋に向かっているところを思い浮かべてみてください。さらに、部屋の扉を開けた時に、その部屋の明かりが突然消えたとします。ここで、皆さんはきっと恐怖感にかられるはずです。そこでゆっくりと足取りを進めていくと、ある所に行き当たり、突然大きな物音がしたことを想像してみましょう。皆さんの恐怖感はさらに強まります。この瞬間に灯りがつき、皆さんはその部屋がごく普通の部屋であり、単に体がソファーにぶつかっただけで、そこにはボールペンが落ちているに過ぎなかったことに気づきます。実際に、照明が点ると、皆さんは安堵感を覚えるはずです。このように、私たちは自分自身について知らなければ、明かりのない暗い部屋にいるような状態に等しいといえます。

 

それでは、私たちは一体どのようにして自己認識能力を高めればよいのでしょうか?それに対する最初の答えは、気づきです。自分に関する見識や気づきの程度を高めることで、私たちは様々な場合に置いて自分がなぜそのような言動に出たのかを分析できます。この気づきこそは、自分にとって好ましくない状況を逆手にとり、プラスの方向に転換するチャンスです。その人はそれにより自分の人生を自分の願望や思惑に沿ったものに転換し、これを楽しむ事ができるのです。

自分がどういう人間なのか、ということについて知らないままでは、ありのままの自分を受け入れ、これを転換させることは不可能だといえるでしょう。ありのままの自分や、自分が求める自分の理想像、そしてそうした願望を抱く理由について明確なビジョンを持つ事は、私たちがそうした願望を賢明に、そしてプラスの方法で実現させ、ひいてはよりよいセルフケアを行うための助けとなるのです。

 

 

次回もどうぞ、お楽しみに。

 

 

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2018年09月08日19時01分
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