7月 08, 2022 16:31 Asia/Tokyo
  • メッカ・カアバ神殿への巡礼者に対するイラン最高指導者のメッセージ
    メッカ・カアバ神殿への巡礼者に対するイラン最高指導者のメッセージ

サウジアラビアの聖地メッカへの巡礼者らに向けたイラン・イスラム革命最高指導者ハーメネイー師のメッセージ本文は、以下のとおりである。

慈悲深く、慈愛あまねき、神の御名において

والحمد للّه ربّ العالمین و صلّی اللّه علی محمّد المصطفی و آله الطّاهرین و صحبه المنتجبین

賞賛は神のみのものである。預言者とその善良で清らかな一門、預言者の善良な教友たちに平安あれ。

聖なるメッカ巡礼の儀式を再び、イスラム教徒の諸国民の約束の場所に実現させ、この美徳と慈愛を彼らに降り注いでくださることを、英明かつ親愛なる神に対し感謝申し上げる。イスラム共同体は今、再びメッカ巡礼のこの儀式の中に、自らの団結と連帯を見出し、離散や対立のもくろみを振り切ることができるのである。

イスラム教徒らの団結は、メッカ巡礼の基本的な2大基盤のひとつである。それは、神の名を唱えること及び、神秘にあふれたこの宗教的義務のもう1つの基本である精神性が一緒になることで、イスラム共同体を威信と祝福の極致に至らせ、これをوَ لِلَّهِ العِزَّةُ وَ لِرَسولِهِ وَ لِلمُؤمِنین「そして栄誉は神とその御使い、その信者たちのためにある」(コーラン第64章、アル・ムナーフィグーン章『偽信者たち』、第8節)の実例とせしめることができるのである。メッカ巡礼は政治的、精神的なこれらの2つの要素の組み合わせであり、聖なるイスラム教は政治と精神性が華やかかつ壮大に混ざり合ったものなのである。

 

現代史におけるイスラム教徒の諸国民の敵は、我々諸国民の間において、団結と精神性という、生命を吹き込むこの2つの要素を弱らせるために多大な工作を行ってきた。彼らは、精神性のない、物質的で短絡的なものの見方から生まれた西洋の生活様式の伝播により、精神性を色あせたものにし、言語や宗教、人種、地理による不和対立という中身のない動機を強化し、広めることで、団結という概念に疑問を呈している。

 

イスラム共同体は今や、メッカ巡礼という象徴的な儀式においてその一部の例が垣間見られ、全身全霊をかけて対抗すべく立ち上がるべきである。すなわち、神を思い起こすこと、神のために勤めること、神の言葉について思慮すること、神の約束事への信念を全員が自らの意識の中で強める一方で、不和対立という意思を克服する必要がある。

今日断言できることは、イスラム世界や全世界の現状が、これらの価値ある努力をするのに、いつになくふさわしくなってきていることである。

それはまず第1に、今日においてイスラム諸国の一般市民の大半および、エリートが自らの精神面や英知・常識面での偉大な財産に注目するようになり、その価値に気づき始めたからである。今日、西洋文明がもたらした最も重要な要素としてのリベラリズムや共産主義には、もはや100年前や50年前の様相はない。いわゆる西洋式の金銭至上主義的な民主主義の面目には、今や深刻な疑問が突きつけられており、西洋の思想家ら自身が、行動や知性面での迷いにさいなまれていることを自白している。イスラム世界では若者、思想家、科学者、宗教家がこの状況を目の当たりにして、自らの知性・英知面での財産や自国で一般的とされている政策ラインに関し、新たな視点を見出している。そしてこれはまさに、我々が常日頃から言うところの「イスラムの覚醒」なのである。

 

第2に、こうしたイスラム的な自我の目覚めがイスラム世界の中枢において奇跡をもたらす驚異的な現象を生み出し、それに対しいわゆる覇権主義勢力が甚大な困難に遭遇していることが挙げられる。この現象こそは「抵抗」であり、その真実とは神に依拠することや、神の道における聖なる戦い・努力、そして神への信仰心の力の表れである。この現象はまさに、イスラム初期の時代の実例に関して、コーランの以下の節に述べられているとおりである。

اَلَّذینَ قالَ لَهُمُ النّاسُ اِنَّ النّاسَ قَد جَمَعوا لَکُم فَاخشَوهُم فَزادَهُم ایمانًا وَ قالوا حَسبُنَا اللَّهُ وَ نِعمَ الوَکیلُ* فَانقَلَبوا بِنِعمَةٍ مِنَ اللَّهِ وَ فَضلٍ لَم یَمسَسهُم سوءٌ وَ اتَّبَعوا رِضوانَ اللَّهِ وَ اللَّهُ ذو فَضلٍ عَظیم. 

「人々が彼らに向かって言った、“あなた方に対して大軍が終結している。彼らを恐れるべきでる”、だがこの事が帰って、彼らの信仰心を深めた。そして「我々には神がいれば十分である。彼は、最も優れた守護者であられる」と言った。だからこそ彼らは、神のお恵みと恩恵に浴して帰ってきた。艱難にも遭遇せずに、彼らは神の喜ばれるところに従った。神は、大いなる恩寵の主であられる」(コーラン第3章、アール・イムラーン章『イムラーン家』、第173・174節)

パレスチナの舞台は、こうした驚異的な現象が見られる場の1つであり、反乱をおこすシオニスト政権を侵略や殺戮から防衛・消極姿勢へと追い込み、現在あらわになっている経済・安全保障・政治面での諸問題を彼らに突きつけることに成功している。抵抗のそのほかの輝かしい実例は、レバノンやイラク、イエメンなどの世界のそのほかの地域において見られる。

第3に、これらの現象に加えて、現代世界はイスラム国家たるイランにおいて、イスラムの政治的統治および力という、誇り高き1つの実例と成功モデルの存在を目の当たりにしている。イスラム共和制をとる現在のイランの威信や進歩、独立性、安定性は、覚醒したすべてのイスラム教徒の感情や思考を魅了しうる、魅力的で意義のある偉大な出来事である。我々、体制指導部の無力さ、そして時には誤った行動は、イスラムによる統治によるすべての恩恵の完全な獲得を遅らせているが、それでも、この体制の根本原則に端を発する強固な基盤を揺るがしたり、物心両面での進歩を阻むことはなかった。この根本原則の筆頭には、法律の制定と施行におけるイスラムの統治支配、国運を左右する最重要事項における人々の意思・投票への依拠、完全な政治的独立、そして圧制的な権力への執着がないことが掲げられている。そしてこの原則こそは、イスラム教徒の諸国民や政府の見解の一致を得られ、イスラム共同体を一致団結・連帯した協力や方向性へと促すものなのである。

 

これらの要素や下地は、団結し統一の取れた動向に向け、イスラム世界における現在の好ましい状況を生み出している。イスラム教徒による各政権、そして宗教・学術界のエリート、独立した知識階級、真理を探究する若者は何よりも、これらの有用な下地の活用を考える必要がある。

当然ながら覇権主義大国、わけてもアメリカはイスラム世界におけるこうした傾向を懸念しており、これに対抗すべくあらゆる手段の限りを尽くしているが、その結果がこれである。アメリカやそれ以外の覇権主義勢力は、メディア至上主義や兵器によらないソフトパワーによる戦争という形式にはじまり、兵器による戦闘や代理戦争の扇動、さらには政治的な告げ口や誘惑、そして脅迫や強制服従、賄賂と言ったあらゆる手段の限りを行使し、イスラム世界をその至福や覚醒の道から切り離そうとしている。そして、この地域でシオニストが牛耳る犯罪政権イスラエルも、こうした全面的な工作の手段の1つとなっている。

しかし、神の御意思および御陰により、こうした一連の工作は多くの場合において不首尾に終わっており、覇権主義的な西側諸国は一触即発の我らが地域において、そして最近では全世界において日々弱体化している。アメリカとこれに共謀する犯罪者、すなわち地域の強奪者たるシオニスト政権イスラエルの大失態ぶりや取り乱しぶりは、パレスチナやレバノン、シリア、イラク、イエメン、そしてアフガニスタンでの出来事の舞台において如実に見て取れる。

 

これとは正反対に、イスラム世界は意欲と歓喜に満ちた若者にあふれている。未来を作るための最大の資本は、希望と自らに対する自信であり、これは現在イスラム世界、すなわちこの地域諸国において大きな波を生み出している。我々は全員、この資本・財産を守り、また増やしていく責務を担っている。

しかしながら、敵の策略や陰謀に対しては一瞬たりとも油断してはならない。我々は怠慢や傲慢を慎み、自らの努力や賢明さの増大に努めるとともに、どのような場合においても注目と嘆願をもって、全知全能の神の助けを求める必要がある。メッカ巡礼儀式への参加は、神に拠り頼み、思考し、決断するための大きな機会なのである。

諸君におかれては、全世界のイスラム教徒たる自らの兄弟姉妹のために祈り、彼らの健勝と成功を神に祈願していただきたい。そして諸君の善への祈りには、これらの兄弟姉妹に対する神のお導きと助けを含めていただくよう求めてやまない。

والسّلام علیکم و رحمة اللّه

諸君に平安と神の慈悲があらんことを祈る

セイエドアリー・ハーメネイー

イスラム暦1443年ゼルハッジャ月5日

イラン暦1401年ティール月14日

西暦2022年7月5日

 

 


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