3月 07, 2021 16:33 Asia/Tokyo
  • ローマ教皇のイラク訪問
    ローマ教皇のイラク訪問

ローマ・カトリック教の総本山ローマ教皇庁のフランシスコ教皇が6日土曜、イラクの聖地ナジャフにて同国のシーア派最高権威者であるスィースターニー師と会談しました。

フランシスコ教皇がイラクのシーア派最高権威者であるスィースターニー師と会談

 

ローマ法王のイラク訪問は、世界が新型コロナウイルス禍に巻き込まれ、それに伴い各国の要人や外交官らの外遊の多くが見送られ、あるいは大きく制限されている中で実施されました。このことから、今回の訪問がより重要性を増した形となっています。

第1の理由には、どうやら、ローマ法王の今回のイラク訪問の理由・目的は、過去のローマ教皇たちがイラク訪問に招待されていたものの、素地がととのわず実現しなかったことにあるようです。アメリカの新聞ニューヨークタイムズは、今回の訪問の理由に関して、「ローマ教皇は、こうした訪問を何年も待ちわびていた。故ヨハネ・パウロ2世は、西暦2000年にイラクを訪問しようとしていたが、地域情勢の緊迫化により見送りとなった。その後、ベネディクト16世もイラク訪問に招待されていたが、戦争により実施できなかった。サレハ・イラク現大統領は2019年1月にフランシスコ1世を招待し、これが長年にわたる闘争の後の国情の改善につながることを願っていた。フランシスコ法王はこれを受諾し、イラク国民、特にこれまで苦しんできた同国のキリスト教徒らを失望させたくないとはっきり表明した」と報じています。

ローマ法王の外遊先にイラクが選ばれた第2の理由は、同国のキリスト教徒人口にあります。かつての独裁者サッダームが政権を握っていた時代の末期の時点で、イラクの総人口のうちおよそ150万人ほどをキリスト教徒が占めていました。しかし、過去20年間でこの数字は3分の1に減少しています。このため、イラクでのキリスト教徒の存在、並びに、彼らが特に暴力により生じた好ましくない状況に置かれていることが、今回の法王のイラク訪問の理由として挙げられます。ローマ法王はイラク首都・バグダッドにおいてイラク国民に対し、少数派の宗教の信者の価値を認め、キリスト教徒たる自らの兄弟を「貴重な資本」として扱うよう求めました。かつてバチカン市国やモロッコのイラン大使を歴任し、またアラブ世界の研究者でもあるモハンマド・マスジェド・ジャーメイー博士も、今回のローマ法王のイラク訪問により、イラクと地域においてキリスト教徒の力が強まる事になるだろう、と語っています。

第3の理由としては、イラクが世界で最も重要なイスラム教国の1つであり、その総人口の多くをシーア派教徒が占めている事だといえます。一方でさらに、イラクは世界のシーア派教徒から支持されている、スィースターニー師という世界最大のシーア派最高権威者の1人が居を構える国でもあります。フランシスコ法王もまた、世界の諸宗教の最大の指導者の1人であることから、今回のイラク訪問の理由の1つが宗教指導者間の対話であったことが指摘できます。

そして、4番目の理由として、現在のイラクの社会的状況が思わしくないことが挙げられます。イラクでは過去20年間において、宗教的な分派に対する暴力といった、様々な形での暴力が多発しています。ローマ法王のイラク訪問は、イラク国内でのそうした暴力の終結および、対話の必要性を強調するものであり、このことはフランシスコ1世とスィースターニー師の会談でも強調されています。

こうした状況に照らし、フランシスコ法王のこのたびのイラク訪問は極めて明確な目的を持ったものであり、その宗教的位置づけは勿論のこと、その憂うべき社会的状況を示しているとともに、今回の訪問および、キリスト教とイスラム教の2人の宗教指導者の会談には特定の政治的意図がない、と結論付けることができるでしょう。

 

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