ロシア大統領府、「サハリン2からのLNG供給は大統領令により停止する根拠なし」
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ロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」
ロシアのペスコフ大統領報道官が、ロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の権益などを引き継ぐ新たな事業体を設立する同国の大統領令について、「事業体の設立後にサハリン2からLNG液化天然ガスの供給が止まる根拠はない」と述べました。
ロイター通信が1日金曜、ロシア・モスクワから報じたところによりますと、ペスコフ大統領報道官は同日、サハリン2からのLNG輸出が危機に瀕しているかとの質問に「大統領令に基づき実施する手続きを考慮すれば、そうなる根拠は今のところない」との回答を示しています。
また、サハリン2は西側企業が出資する他の事業の事例になり得るかとの質問には「統一的なルールはできない。他の事業はケースバイケースで検討することになる」と述べました。
プーチン大統領が6月30日に署名した大統領令によりますと、約50%の権益を持つ国営ガス大手のガスプロムは権益を維持される一方、他の出資者はロシア政府に対して1カ月以内に改めて権益の承認を申請する必要があり、認められれば権益を保有し続けられるということです。
一方で、認められなかった場合は、ロシア政府の監査を経て事業への損害を差し引いた補償金が支払われることになり、監査はこれから実施される予定です。
また補償金は特別な口座に入金され、追って通知があるまで保管される見込みだとされています。
なお、日本の報道各社によりますと、この問題について木原誠二官房副長官は1日、日本企業の権益の扱いや日本のLNG輸入への影響を精査している段階だと明らかにしました。その上で「一般論として、わが国の資源にかかる権益が損なわれることがあってはならない」との認識を示しています。
また今後の対応について、ロシア側の意図や背景についても精査中であり、現時点で回答できる段階ではないとしています。
サハリン2の現在の運営主体、サハリン・エナジー・インベストメント・カンパニーは、ガスプロムが約50%、英シェルが約27.5%、三井物産が12.5%、三菱商事が10%の権益をそれぞれ保有しています。
日本はLNG全輸入量のうち約8%をサハリン2から調達していることから、日本政府は日本のエネルギー安全保障上きわめて重要なプロジェクトであるとして、これまで撤退しない方針を繰り返し示してきました。