May 26, 2022 16:10 Asia/Tokyo
  • ウクライナ戦争
    ウクライナ戦争

ウクライナ戦争は、勃発から4ヶ月目に突入したものの、今なお終結の見通しは全くないままです。この戦争はまさに、国際政治における新時代の皮切りとなっています。

去る2月24日、プーチン・ロシア大統領の命令により、ウクライナ戦争の火蓋が切って落とされました。ロシア軍の進軍はドンバス地方を中心としたウクライナ東部に限らず、同国の北部や南部、さらには首都キエフ(ウクライナ語読みではキーウ)にまで及んでいます。しかし、開戦から2ヶ月が経過し、キエフに向かってのロシア軍の進軍が伸び悩んだことから、ロシア政府はウクライナ東部、すなわちドネツクおよびルガンスクの2つの州に自軍の作戦の的を絞ることを決断しました。このアプローチは、ロシア政府によりこの2州の独立が正式に認められていたことと、この両州の市民軍やロシア軍によるこの2州の完全占領を目指しての努力の結果、講じられたものです。

 

ロシアは現時点で、アゾフ海沿岸にあるウクライナの戦略的港湾都市マリウポリを攻略し、さらにはヘルソンをはじめとした同国南部地域にあるクリミア半島の隣接地帯を、首尾よく占領下に収めましています。表面的には、ロシアはこれらの地域を自国領として併合するつもりのようです。これに関して、ロシア軍が発足させたヘルソン地域の新当局は23日月曜、ウクライナの通貨フリヴニャと併用する形で、ロシアの通貨ルーブルを正式な通貨に定めました。ロシア国防省はこれに先立ち、ウクライナはヘルソン及びそのほかの3つの地域の管轄権を完全に喪失した、と発表しています。

 

もっとも、ウクライナ戦争はもう1つの重要な側面を帯びてきています。それは、アメリカを筆頭とする西側ブロック圏ブロック圏による前代未聞の対ウクライナ軍事・武器支援が、今やウクライナ戦争を事実上のロシアと西側の代理戦争とし、支援の中で西側寄りのウクライナ政府が軍事力を確保し、西側も数十億ドル規模の軍備・兵器をウクライナ側に提供する形になっていることです。この最たる例が、アメリカ議会での400億ドル相当の対ウクライナ支援法案の可決です。これはジョー・バイデン現大統領の署名により法制化されされましたが、そのうち約200億ドル相当は軍事・安全保障面での支援となっています。このことは、ロシアのさらなる弱体化を目的にウクライナ戦争の可能な限りの長期化を狙うという見解の一致が、アメリカ政府内に存在していることを示しています。

 

アメリカとNATO北大西洋条約機構は、特にアメリカの拡張主義的な目的に強硬に反対する国家とみなされるロシア、および同国のプーチン大統領に対する自らの宿願を達成できる手段として、ウクライナを見ています。アメリカとNATOは、ウクライナに対する善意あるいは友好的な目的を持つ以前に、単にロシアの軍事力の疲弊のために、ウクライナ戦争やその続行を狙った工作を利用しており、事実上この戦争ができる限り長期化することを望んでいるのです。

 

もう1つの重要な問題は、アメリカを筆頭とする西側が、ウクライナ戦争を口実に史上最も厳しい前代未聞の一方的な対ロシア制裁を行使していることです。しかし、これらの一連の制裁はいわば両刃の剣であり、ロシアの経済と社会に損害を与えると同時に、世界各国にも取り返しのつかない弊害を及ぼしています。ロシアとウクライナは実際に、小麦や採油用種子をはじめとする世界の穀物全体のうちの相当量を供給していることから、ある意味で他国にとっての穀倉とも言うべき存在であり、西側の制裁やそれに対するロシアの報復措置措置は、食糧危機につながるうえ、世界の飢餓にまで発展することも予測されます。ロシアのエネルギー部門にすでに制裁を行使しているアメリカは現在、EUがロシア産天然ガスおよび石油の購入に制裁制裁行使することを求めています。しかし、ヨーロッパ諸国はロシア産エネルギーに大きく依存していることから、ロシアの石油と天然ガスに対する自らの依存をすぐには断ち切れないのが現状です。

 

アメリカの政府関係者は繰り返し、「ロシアは、この現状において国際経済の好ましくない状態の原因となっており、同時にウクライナに対する自らの攻撃の代償を払わねばならない」と主張しています。バイデン米大統領は「ロシアは、アメリカとその同盟国により行使された制裁を通じて、長期間重ねてきた"ウクライナでの野蛮さ”と呼ばれるものの代償を払うべきである」と語りました。

 

ウクライナ戦争に関して、西側から意図的に無視されている重要な問題は、NATOの東方拡大に固執し、自らの国家安全保障というロシアの自らの国家安全保障のための要求を呑まなかったという、アメリカとNATOの行動やアプローチが果たした役割です。ロシアの包囲における西側の目的は、最終的にはロシアの弱体化と分裂であり、これは現在、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟推進により進行中なのです。

 


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