May 16, 2017 19:52 Asia/Tokyo
  • イランと他国の大統領選挙

イランでは今月19日に第12期大統領選挙が実施されます。

選挙は、民主主義を実現する最も重要な手段であるとともに、各国の政治体制における人々の役割の大きさや地位に関する基準でもあります。

 

選挙は、政治体制の形成や政権を行使する人物の決定に、国民の意志が反映されるための枠組みであり、これにより、国民は行政における管理と実施、決定に重要な役割を果たします。イランの政治アナリストであるジャアファリー氏は、次のように述べています。

「イスラム共和制という宗教による体制は、人類の方向性 を転換した影響力のある大きな革命の結果であり、イラン国民に価値ある成果をもたらした。その1つは、国民1人1人が自らの将来を決定することを客観的に目の当たりにし、彼らの投じる票の1つ1つが影響力を持つことを確信したことだ」

 

イランと諸外国の選挙制度の質と量の面での相違点

各国における選挙方法は、それぞれ異なります。これは、それぞれの国の憲法や、長年にわたる様々な選挙の実施における民主主義の歴史に端を発しています。

イランにおける選挙のプロセスは、アメリカやフランスを初めとする諸外国の選挙制度よりも完全で、さらにイランの選挙制度では国民の決定的な役割が特別な重要性を有しています。イランでは、選挙に対する監視のプロセス、投票者、そして候補者のいずれも、他国に比べて注目に値するほどレベルが高く、個人主義や物質主義的な思想、ロビー活動などが一切存在しません。

こうした状況においては、一部の国とイランの選挙制度を比較した場合、これまで以上に護憲評議会がアイデンティティの形成と質の高さの維持に重要な役割を果たしています。イランにおける様々な選挙の実施に関する措置は、完全な注意と透明性が守られており、内務省の管轄下にある行政団体や、護憲評議会に属する監視団体の枠組みで定義されます。イランの政治評論家のアルボルズィー氏は、これについて次のように語っています。

「我々は、西側諸国の民主主義と宗教に基づく民主主義の本質や哲学の間にどのような違いが存在するかを見る必要がある。西側諸国における民主主義の本質や哲学は、人民の上に立つ人民の統治に基づいている。だが、イラン憲法では、人民の絶対的な統治者は神とされている。神が人間の意志に対する統治を設定したのであり、人間は自らの運命を管理するものとされている。つまり、宗教に基づく民主主義は、神の意志による民主主義といえる。だが、西側諸国の民主主義は、リベラリズム、人間中心主義、世俗主義という3つの潮流を発端としている。西側諸国の民主主義の全てのプロセスにはリベラリズムが存在しており、資本主義が第1とされ、広告や宣伝において多くの資金が回っている。例えば、最近のアメリカの選挙では、かのトランプ氏が大統領に当選するまでに莫大な費用を費やしている。人間中心主義においては、投票者と候補者のいずれも、政治目的のためにはいかなる反道徳的な手段も許されるとするマキャベリズムに訴えることができる。さらに、世俗主義でも、政教分離が徹底され、選挙において宗教の入り込む余地は全くない”

 

宗教に基づく民主主義を源とするイランの選挙の全てのプロセスにおいては、神の意志が具現されています。つまり、候補者を選ぶに当たっては、イスラム共和制や国の正式な宗教の信仰が、現実的に守られなければなりません。選挙活動においても、候補者はイスラムの道徳を守る必要があります。これについて、政治評論家のアルボルズィー博士は、次のように述べています。

「宗教的な民主主義による意志は、神の意志に根ざしたものであり、神は人々が自分たちの将来を決定することを望んでおり、将来を管理する手段が選挙である。我々がモデルとして世界に紹介している宗教的な民主主義は、こうした民主主義を受けて、宗教的、イスラム的な価値観が浸透することを求めている。つまり、国民が投票して統治者を選ぶのであり、これらの統治者は宗教的な枠組み、つまりイスラム的な法規や宗教法に基づいて行動しなければならない」

 

イランの大統領選挙法では、この選挙に対する監視は護憲評議会が請け負うとされています。この監視行為は、選挙に関する全てのプロセスに対して行われます。イランの投票者と候補者としての条件は、アメリカとフランスの2大国における選挙の条件とくらべて、より完全なものです。この2つの国では、政党や州ごとの投票が基盤となっていますが、イランでは憲法で定められた条件を満たす政治家であれば、誰でも出馬できるのです。

 

アメリカにおける選挙制度

アメリカの選挙制度では、全ての市民は投票日に、まず名前の登録を行う必要があります。これは義務ではありませんが、この登録なしには投票ができません。この手続きの目的は、候補者や各政党が正しい投票と集計作業によって信用を得ることにあります。この手続きは、イランでは異なっており、人々は投票日、護憲評議会によって行われる正確な監視作業や、整えられた便宜により、投票することになります。

アメリカでは、候補者登録に関する監視のプロセスも各政党が担っており、事実上、それぞれの政党が候補者を指名します。政党の最高組織が州レベル、あるいは連邦政府レベルで候補者登録を監視します。大半の国において、内務省が候補者登録を担当しているのに対し、アメリカでは各政党がこの監視業務を担当します。イランではこの監視業務は内務省と護憲評議会に委ねられており、言い換えれば選挙の実行委員会が候補者登録を受付け、それから護憲評議会のイスラム法学者や法律家が、候補者の資格審査を行うことになります。これについて、イランの政治評論家のヤズダーンパナー氏は、次のように述

「西側諸国で、一部に混乱をともなう民主主義が広まっているのに対し、イランはこれまでそのような西洋的な矛盾から距離を置くとともに、宗教による民主主義を確立することに成功した」

アメリカは、世界で最も複雑な選挙法を有する国の1つであり、この国には選挙に関して中心となる法律がないといえます。選挙資金に関する業務を除き、手続きは各州ごとの法律に基づいて実施されます。

さらに、アメリカは、大統領選挙に際しては選挙人制度という制度を採用しています。このシステムでは、各州の選挙人の投票で当選が決まり 、270票を獲得した候補者が大統領に当選することになっています。アメリカの選挙制度では、ある意味で人々の票は重要ではなく、影響力がないことになります。これに対し、イランの選挙制度では人々の票が全てカウントされ、最も多くの票を集めた候補者が大統領に当選する仕組みになっています。

 

フランスの選挙制度

フランスの選挙制度における大統領選挙への出馬や投票に当たっての条件は、同国の憲法に定められています。それによると、大統領選挙に参加する資格を有するのは、法廷年齢である18歳に達しており、かつ政治的、民事的な全ての権利を有しているフランス国民とされています。

しかし、フランスの選挙法では、選挙権がない人々の例についても言及されており、他人の保護下に置かれている人は投票する権利がありません。この法律に基づき、裁判所の命令で法律違反や刑法に基づく犯罪を理由に選挙権を剥奪されている人々も、登録ができない仕組みになっています。このプロセスは、フランスでの選挙制度が多数決方式ではなく、二回投票製であることを示しています。

 

一方、イランでは精神異常者以外は誰でも選挙に参加する権利があり、犯罪者であっても選挙権を剥奪されることはありません。これについて、イランの政治評論家のダーヴーディ氏は次のように述べています。

「イランとアメリカにおける選挙の相違点は、3つの分野によるものである。まず、イラン以外の国では、そもそも完全な選択の権利が存在しない。アメリカのような国では、最終的に2人の候補者の一騎打ちとなる。もっとも、中にはこれをメリットだと考える人もいる。だが、この2人の代表候補は全ての階層の人々の考えを代表する存在と言えるだろうか?ここで、アメリカの民主主義は深刻な混乱に直面している。だが、イランでは最近の選挙でも見られるように、資格審査を通過した候補者は様々な階層や部門の代表者である」

フランスの選挙制度では、候補者資格として満23歳に達していること、フランス国籍を有していることなどが挙げられます。しかし、この定義では、生まれつきフランス国籍を有していたか、或いは後から取得したものかは全く問われません。また、候補者は少なくとも30県以上から500人の推薦人を集めなければなりません。このようなモデルは、フランスの選挙制度における政治的な党派志向を示すものといえるでしょう。

 

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