慈愛の預言者、ムハンマド(7)
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慈愛の預言者、ムハンマド
メッカが征服された日、イスラムの預言者ムハンマドは、全体的な恩赦を命じました。
預言者ムハンマドが敵に対して恩赦を命じたにも拘わらず、アブージャハルの息子、アクラマは、恐れおののき、メッカからイエメンに逃げていました。アクラマの妻は非常に賢い女性でした。彼女は、メッカが征服されたのと同時にイスラム教徒になり、夫を許してもらうために預言者ムハンマドのもとに行こうと決めました。慈悲と寛容さの象徴であった預言者は、この女性の申し出を受け入れました。
アクラマの妻は、待ちきれない様子で夫のもとに出発し、メッカの町を離れました。夫は海辺にいました。妻はアクラマに言いました。「考え直してください。私は、最も善良な人物のもとから参りました。あなたは彼について性急な判断を下しました。ムハンマドは、神が創造なさった最も崇高な存在です。彼は誰よりも信頼できる人物です。私はあなたの恩赦を彼から受け取りました」
アクラマは後悔し始めました。彼はゆっくりと地面に座りました。妻は続けました。「ムハンマドは戦うためにメッカの町に来たわけではありません。彼は平和と友好の使者です。彼は最高の力を持ちながらすべての敵を許し、彼らに安全を提供しました。あなたは彼以上に偉大な人物を知っていますか?ムハンマドは、『唯一の神のみを崇拝しなさい。戦争をしてはならず、預かり物に対して責任を持ち、互いに仲良くせよ』と言っています。この言葉は、私たちの幸福を保障するものとはならないでしょうか?」
アクラマは、妻の言葉を聞いて心を落ち着かせ、妻と一緒にメッカへと戻りました。アクラマは心の底から、自分のしたことを後悔しながら、神の預言者ムハンマドのもとへと赴きました。アクラマは、預言者の表情に魅了されました。それまで、それほどの権力を持っていながら、これほど謙虚で慈悲深い人物を見たことはありませんでした。アクラマはそれまでこのように考えていたのです。「今こそ預言者は、私の父が為したことの復讐を私に向けることができる」
しかしアクラマは、神の預言者の温和な態度を目にして、彼の説くイスラムに信仰を寄せ、イスラム教徒になりました。
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