9月 16, 2022 17:24 Asia/Tokyo

皆様こんにちは。このシリーズでは、イランで実際に使われているペルシャ語の生きたことわざや慣用句、言い回しなどを毎回1つずつご紹介してまいります。

今回は、イランの大詩人ハーフェズの作品からの一節をご紹介しましょう。

ハーフェズは、「行方不明になっていた預言者ユーソフも再びカナンの地にやって来る、悲しむなかれ、嘆きの荒れ屋もいつか花園になる、嘆くなかれ」と詠っています。ペルシャ語での読み方は、Yuusof-e gom gashte baaz aayad be Kan'aan gham ma-khor, Kolbe-ye akhzaan shavad ruuzii golestaan gham ma-khorとなります。

この一節は、旧約聖書の創世記第15章に出てくる「松明の契約」の物語に由来すると思われます。この章では、松明の契約において神は、預言者イブラーヒームの子孫がエジプトに入り異邦の地で奴隷生活をする期間を「400年」であるとし、またイブラーヒームの子孫がカナンの地に「4代目になって」帰って来ると言われた、とされています。初代はイブラーヒーム、2代目はイサク(イスハーク)3代目はヤコブ(ヤアクーブ)、そして4代目がヨセフ、すなわち預言者ユーソフだったというわけです。

ただし、旧約聖書・出エジプト記によりますと、実際には預言者ユーソフは110歳でエジプトにて死去しますが、自分が死んだ後、自分の骨をエジプトの地に埋葬させず、棺に納めて置かせ、イスラエルの民と共にあるよう遺言します。そして旧約聖書ヨシュア記によりますと、ユーソフの骨は荒野40年とカナン征服期間である約16年を経て、紀元前1390年に、現在のパレスチナ・ヨルダン川西岸ナブルス付近とされるシケムの地に葬られたということです。

なお、ここに出てくる「カナンの地」とは、現在のパレスチナの古い呼び方で、ペルシャ語ではキャンアーンと発音されます。

この一節は、特に今逆境や苦しい状態にある方々にとって大きな励ましとなるのではないでしょうか。特に後半部分からは、松尾芭蕉の「草の戸も 住み替はる世ぞ 雛の家」という句を思い出しました。新型コロナウイルス危機の発生当初から2年ほどは、日本や世界各地で空港や駅ターミナル、ショッピングセンターなど、人の集まるはずの場所から人の姿が消え、ゴーストタウンのような状態となったことが大きく報じられていました。

しかし現在では、各国でコロナ規制や入国制限の撤廃・緩和が進み、そうした場所にも人々の姿が戻ってきています。現在苦しい状態や逆境にあっても、そうした事態もいつかは終わり、またよい時がめぐってくると思われます。万物は流転し、決して同じ状態にとどまることはありません。その時の到来を信じて、気を落とすことなく日々努力したいものですね。それではまた。

 


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