May 22, 2016 23:08 Asia/Tokyo
  • 「ハーフェズに捧ぐ」展の開催

14世紀の世界的なイランの偉大な詩人ハーフェズは、世界中の多くの人を魅了しました。

18世紀から19世紀にかけてのドイツの文学者ゲーテは、ハーフェズに魅せられた人物の一人です。ゲーテは、ハーフェズに向けて、次のように記しています。「ハーフェズよ、自身をあなたと対等に置くのは、狂気を示す以外の何物でもない。あなたは海を切り開き、波の中を進むため、傲慢な風を受けている船のような存在であり、私はその船の残骸に過ぎない。心の中で、あなたの魅力的な言葉はしばしば、波うち、しばしば炎の波が押し寄せるが、この波は私を引き付け、沈ませる。とはいえ、わずかばかり、自分をあなたの弟子の弟子だと考えている」

 

ドイツの現代美術の巨匠、ギュンター・ユッカーによる「ハーフェズに捧ぐ」というテーマの展覧会が、今後1ヶ月間にわたり開催される予定です。ユッカー氏の作品はハーフェズの抒情詩に影響を受けて創作されました。この展覧会は、はじめ、イラン南部シーラーズのハーフェズ廟で開かれ、その後、テヘランのイマーム・アリー博物館で行われました。テヘランの後はドイツで催される予定です。

 

イマーム・アリー博物館で行われた展覧会の開幕式には、ユッカー氏とともにイランの芸術関係の責任者やドイツの芸術関係者、イラン人の芸術家が出席しました。この展覧会には、ハーフェズの30の抒情詩に基づいた42点の作品が展示されています。

 

ユッカー氏は、50年前からドイツにおける現代芸術の第一人者としての地位を有しており、前衛芸術集団ゼロのメンバーでした。彼は、東洋を自身の目で見ることなく、『西東詩集』においては、存在した資料からインスピレーションを得ていたゲーテとは異なり、直接的な形でハーフェズの影響を受けています。

 

2012年、ユッカー氏の作品の大掛かりな展示会が、テヘラン現代美術館で開催されました。その数ヵ月後、イラン中部イスファハーンの現代美術館でもこの展示会は行われました。ユッカー氏のテヘラン、イスファハーン訪問により、彼はイランのイスラム文化をさらに理解するようになり、大きな影響を受けました。彼はこの2年、調査活動や芸術的なプログラムによる活動をすべて停止し、このプロジェクトに集中しました。ハーフェズの詩を直接使うことは、このプロジェクトの重要な特徴であり、それをこの数十年間における、イランと西側の最大の対話と協力に変えています。

 

ユッカー氏はシーラーズで行われたこの展示会のオープニングセレモニーで、「これらの作品は、ハーフェズや詩的な自由、彼の人間に対する深い感受性、彼の受けた苦しみをたたえており、それは私の作品の中に見られる」と語りました。ユッカー氏はまた、この式典で、靴を脱ぎ、ハーフェズの墓の前で敬意を表しました。

 

ユッカー氏の絵を見ると、彼がハーフェズに対して大きな愛を持っており、ハーフェズの詩を芸術作品にあらわし、絵画作品をハーフェズの抒情詩で美しく飾っているということが理解できます。これらの絵画作品の配色は、崇高な輝きや色彩を有していますが、この作品がイランの芸術家によって描かれたものではないことを示すしるしも見て取れます。ユッカー氏は、イランの建築芸術や絵画において色や形式が重要な役割を果たしていることを知っており、対称的な線を用いて、作品を見る人たちに対して、モスクや宗教的な建物を思い出させています。

 

ハーフェズは詩の中で、この世の表面的な事柄から目をそらし、創造世界の真理について描こうとしています。創造世界は、イラン人の芸術家にとって、神の徴が数多く存在する場所であり、それを描くことは、謎の言葉や比喩以外には不可能でしょう。ユッカー氏も、こうした謎や神秘をある程度理解し、それを鮮やかな色の円が描かれたいくつかの絵画で示しています。円形も、真理への達成や神秘の象徴であり、イランの芸術でも最も重要な形として使われ、神とつながるために、中心に向かっていく全体的な流れを示しています。これは見る人の目を中心に導きます。ユッカー氏は自身の作品の中で、この要素をふんだんに使っています。

 

花と葉に強い色を使うことで、喜びや明るさを示しており、その結果、この絵はハーフェズによる楽園のイメージを描くものとなっています。絵において、色は何よりも注目を受ける要素となります。ユッカー氏の作品の中で使われている色のほとんどは、確かに世界においては独自の意味を持っていますが、ユッカー氏はイランの芸術における色の伝統的な定義を無視することなく、注意深い色使いを行っています。

 

絵画の専門家の一人は、絵画はほかの芸術よりも、見る人に対して、画家の内的な啓示やハーフェズの詩に対する個人的な感性をあらわしているとしています。つまり、もし、イランの芸術家がハーフェズの詩を絵画で表現したならば、それはよりイラン的な、そしてイラン人の鑑賞者にとってはより理解できるものとなるでしょう。これらの絵は、イランの抒情詩と現代絵画の融合による作品で、これにより、イラン人以外の鑑賞者のほうが、これらの作品により親しむことができると考えられます。確かに、ハーフェズの詩の中に見られるものや、彼の抒情詩に含まれる奇跡は、これらの絵画からは伺えません。

 

ハーフェズはすべての時代における詩人であり、その詩は世界のすべての人のものです。彼の詩は、ほとんどの世界の生きた言語に翻訳されており、その言葉は世界的で、尽きることがありません。ハーフェズの詩はゲーテの思想に近く、ハーフェズはドイツとイランの地理的な境を取り払い、両国を近づけています。全世界の人々はゲーテに魅了され、そのゲーテはハーフェズに魅了されています。ゲーテはハーフェズへの愛を文学的に表現していますが、この情熱は、今日、ギュンター・ユッカーの作品の中に見られます。

 

ユッカー氏の展示会の開催と同時に、ユッカー氏の作品に関する本が発表されました。この本では、昨年の秋ごろにテヘラン現代美術館で展示された作品について説明されています。

 

この本はペルシャ語、英語、ドイツ語の3ヶ国語で記され、テヘラン現代美術館により出版されました。ユッカー氏はこの本で、ハーフェズについて次のように記しています。

 

「私は、彼の詩人として気高さと人間の感性に対する深い理解、この詩の創作における情熱と苦しみにより、偉大な詩人のハーフェズを、非常に価値の高い偉人とみなしている。ハーフェズの詩は、語ることのできるものと語ることができないものの間にある。この詩は、私に彼の詩を色彩により表現する動機を与えた。」

 

この記述は、ハーフェズの思想や文学についてゲーテが語った言葉で締めくくられています。

 

「ハーフェズよ、あなたの言葉は偉大なる永遠性を保っている。つまりそれにはじめも終わりもない。抒情詩の半分の間では、始まりと終わりの違いをつけることできない。なぜなら、すべてが美しく、完全だからだ。もし世界の終わりが到来すれば、ハーフェズよ、私はあなたの傍らにいることを望んでいる。なぜならこれは私の生涯の誇りであり、生きる源だからだ」

 

 

 

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